新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

6月15日 その2 ファーストクラス零れ話

2016-06-15 07:18:17 | コラム
俺のこの会社での命脈は絶たれたと思った:

W社の旅費規程(アメリカの会社でも規程はあるのだ)では、アメリカ国内ではファーストクラスに乗ることは許されていなかった。だが、アメリカ国内便にはファーストとエコノミーの二つのクラスしかないのだということをお忘れなく。

屡々採り上げてきた我が生涯の最高の上司だった副社長兼事業本部長は「閉所恐怖症」(=claustrophobia)だった。彼の場合自分の目に入る範囲内に大勢の人がいる環境が恐怖なのだ。だが、職責上常に全米と世界を股に掛けて飛行機で飛び回らねばならなかった。その際は極力機内の一番前の席(国内便はファーストクラス、国際線ではビジネスかファーストの何れか)を何としても確保せねばならなかった。新幹線は幸いに前の席に人がいても見えないことが多いので助かった。

しかし、彼は部内は兎も角、社内には閉所恐怖症であることを公開していなかった。これは大変厄介なことで、エレベーターでも気楽に乗せられないので、我々は大いに気を遣っていたものだった。だから、お客様に日光を案内された際には華厳滝を鑑賞に降りるエレベーターに乗らず、案内役の社長さんを困惑させたものだった。

彼はある時このような回顧談を聞かせてくれた。それはシカゴに行く為にシアトル空港に行くと、偶然にジョージの後継のCEOに出会った。聞けば同じ便で同じシカゴに行くのだそうで、ゲートまで一緒に行ったそうだ。しかし、機内に入ると社長が規程通りに”See you, later.”とエコノミークラスに向かい、彼は前方のファーストクラスの席に向かって分かれたのだった。彼は苦笑いをしながら言った「正直なところ、これで我が社内での命脈が絶たれたと思った」と。だが、彼は何のお咎めもなくそのまま副社長兼事業本部長を続けられたのだった。

敢えて無理筋の落ちをつければ、彼はファーストクラスを買っていた訳ではなく、貯めてあったマイルを使ってアップグレードしてのだったのだが。

曾野綾子さんは言う

2016-06-15 07:16:31 | コラム
都知事の私的流用問題:

曾野さんが産経に連載されている「透明な歳月の光」では、必ずしも舛添都知事を非難されている訳ではなく、寧ろマスコミの騒ぎすぎをたしなめておられる論調だったのは如何にも曾野さん的で印象的だった。私はこの点よりも、公費にして泊まったホテルで会った人物が誰かを明かさないことを非難しておられたのは当然だろうと思って読んだ。「知事の公的スケジュールは記録されていなければ」と言われるのだ。舛添は「公務」だと言っていたのと同じだと気付いていなかったのだ。

曾野さんにそう言われて考えたが、総理大臣の動静は常に明らかにされ新聞が掲載している。ましてや如何に大きくても一都道府県の首長がその行動の内容を明らかにしないのはおかしいのだと思いあたった次第だ。やはりこの曾野さんのコラムは注目に値すると思った。