新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

2月1日 その2 外交交渉

2017-02-01 16:02:25 | コラム
対トランプ大統領交渉術の考察:

私は昭和20年(1945年)に旧制中学に入学した頃からアメリカ人を知り得る機会があり、中学2年時には彼らの中で過ごす時間があった。また、39歳でアメリカの会社に転進して、アメリカの文化にも肌身で接して少しはアメリカとアメリカ人というものが解っていたつもりだった。だが、この度のトランプ大統領という方は、その程度の経験と知識で「何者か?」かを判断出来る圏内にはいなかったので、予期した以上に混乱させられた。

だが、だが大統領就任後の僅かな時を経て、彼のやり方が徐々に“unpredictable”の範疇を離れ出したかに見える事象が多くなったので、少しは何を意図して大統領を多発されるのなどが、うっすらとでも読めるような気もする時もあるが、実態は私如きの理解を超越する次元にあるのだろうと思わざるを得ない。中には明らかに誤解と誤認識の産物と断じて良い案件もあるが、他には「これを言うことで何を失うか」という一方的な強気としか思えない無茶もある。

恐らく安倍総理以下は自動車問題を中心に置かれて、彼が本当に無知なのか、そう装っているだけなのか、あるいは十分にブリーフィングを受けて万事に精通した上で、知らん振りで吹っ掛けて来たのかを見極めて交渉されねばならなくなってことになっていくだろう。その見極めはかなり難事業だと思わざるを得ない。外務省に事前にスカウテイング出来ると良いが。

だが、既に指摘したように日本車が現在の数まで現地生産されるに至った歴史を知らずとも(あるいは百も承知で?)、日本側の丁寧な説明を聞いてから、彼らの常套手段的台詞である“I know it. So what?”(「それくらい知っている。それがどうした」)と平然と切り替えされた時に如何に対応するままで準備が整っていないと、我が方が不利になる危険性は残ると危惧するのだ。トランプ大統領にはその程度の駆け引きは、自家薬籠中のことであるかも知れない。

トランプ大統領は百戦錬磨の不動産王として、「国際交渉と雖も不動産業の『デイール』と同じだとばかりに、強気で押してくる戦法を採ってくる危険性がある」と懸念するのだ。彼が国際交渉の厳しさとそれに対処する度胸と経験を備えておられるのか、これまで多くの外国と交渉を積み重ねてこられた安倍総理が何処まで突っ張って行かれるかが焦点かなと思うのだ。



トランプ大統領とかにdealするか

2017-02-01 08:16:13 | コラム
明らかに厄介な存在となってきたのでは:

今やこの大統領は不動産業界の大立て者としての手法なのだろうが、全ての重要案件を「デイール」として扱っているという声が高くなってきた。試しに“deal”をOxfordで見ると“an agreement, especially in business on particular conditions for buying or doing ~”となっていた。私は勝手に「取引」乃至は「取引すること」と見なしているのがトランプ大統領の手法かと思っている。

要するに「自分の狙いを達成する為に先ず『ドカン』ときつい条件をぶつけて相手を怯ました上で、目標か目的を達成しようとする一回こっきりの不動産の建設や売買の手法、というかこれまで成功してきた経験を活かそうとしているのでは」と見えてきた。問題はそのような一件強硬手段と見えるようなやり方に打って出る前に、事前に「敵を知り己を知れば百戦これ危うからず」的なスカウテイングが十分に行われてきたかだと思う。

就任後の僅かな期間に徹底した事前調査をしたかどうかなどは不明だが、これまでの我が国に対する自動車貿易(輸出と現地生産)に対する発言や、メキシコからの輸入品に関税(border tax)などに関連した発言を聞いていた限りでは「準備」乃至は「歴史認識」は誠に不十分のようにしか見えない。いや、ハッキリいえば「知らないからこそ言えるのでは」としか思えないことを平然と曰っていた。

そこで安倍総理以下が実際に2月10日に首脳会談となった際に、どのような手法で自動車問題に関する大統領様の誤認識を正して、我が方の正当性とアメリカの行き届かない対日輸出政策か方針の誤りを覚醒させるかだ。そこでは「左ハンドル固執」の生産体制や燃費等々を論わざるを得ないだろう。これは避けて通る訳には行くまいが、一国の大統領(とその閣僚も?)を相手にして、その認識不足を堂々と指摘する語るか、またはプリゼンテーションがどれほど難しいか、どれほどの度胸を要するかは考えただけで気が遠くなりそうだ。

私はその先に更なる大問題が控えているのではと危惧している。それは先方様は十二分に自国の自動車産業他の問題点(例えば、カーラ・ヒルズ大使が指摘した労働力の質の問題等々)をご承知であって、飽くまでも「デイール」を有利にする為の知らぬ振りだったら大変だという意味だ。実際に相手が知っていた場合には決まり文句があって、“I know it.”問いともアッサリと斬り捨てられ経験をしてきた。ご承知だと、「それがどうした」(So what?)と高飛車に出て来るのだ。彼らにはそういう交渉術もあるのだ。

私が想像を逞しゅうすれば、「日本車が大量に現地生産されているとは承知しているし、それは感謝する。今後貴国に要望することは、例えば大型の自動車運搬船で運んでくるトヨタのLexusのような高級車もアメリカ生産に切り替えてくれ」というような高飛車なデイールをぶつけてきはしないかということ。トランプ様としてはこういう条件を出すことで何ら失う物がないのだ。しかも「アメリカファースト」を標榜される以上、トヨタが如何なる目に遭うかは“None of my business.”だとでも考えているかも知れない。

私にはトランプ大統領は大統領に就任したことによって“almighty”の権限を手中にしたと思い込んでおられるのかなと疑っているのだ。因みに、almightyはOxfordには“(in prayers)having complete power”となっている。そして、この疑いは誤りであって欲しいと心中密かに願っている。