新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

12月24日 その2 給与のアップは

2017-12-24 09:48:47 | コラム
Pay raiseでした:

先ほど「英語を使うのも好い加減にしよう」では increaseか promotion だとしましたが、通常使われていたのは勿論 up ではなく raise が多かったと思います。即ち、pay raise となります。謹んで追加します。ジーニアス英和には wage の類語として出ていますが。


驚きの unleash

2017-12-24 08:19:34 | コラム
英語を使うのも好い加減にしよう:

近頃テレビに現れるCMに、下品な言葉を使えば「ぶっ魂消た」ものがある。余り驚いて何の宣伝かすらも暫く確かめなかった。後で解ってきたのだが、どうやら Boat Race だかのものらしい。何に驚いたかと言えば、そこに聞こえる歌文句が “Unleash your heart ~”だったからだ。より正確に言えば unleash に驚いたのだ。

何故かと言えば、当方は元々それほど大きな語彙を誇っているのではないが、前掲の英文から先は日本語になる歌に、事もあろうに unleash というおよそ日常の会話というか業務用の文章などに出てくる訳がない単語が同等と使われていたことだ。記憶では「~から解き放たれる、といったような感覚の言葉だったかな」程度でしかなく、使った記憶などある訳もなく、何かの本で読んだ以外に見たことも聞いたこともなかったのだ。

そういう意味では、テレビ御用達の「コラボ」も驚愕の部類に入れたかった。既に指摘したことで「そういう言葉があるとは承知していたが、使ったこともなく、社内で語り合う時に聞いたことはなかったのだ」と言いたい文語的というか日常会話には不向きな言葉だ。

そういう極めて文語的な言葉が万人向けのはずのテレビコマーシャルで使われるとは、我が国の英語教育もここまで来たのかという、新鮮且つ驚愕の英語の使い方だった。ここまでをお読み頂いた方で「私は日常的に使いこなしていた」という方がおられたら、是非ご一報戴きたいとすら思うのだ。察するに、この英語(なのだろう)の歌詞で言いたかったことは「貴方の心を~から解放しましょう」だろうと思った。

因みに、unleash をジーニアス英和で見れば「①・・・の革ひも[綱]を解く;(犬のくさりを解いて[人]にけしかける)②・・・の束縛を解く」とある。なるほど、「貴方の心を~の束縛から解放する」と言いたいと解る。Oxfordには to suddenly let a strong force, emotion, etc. to be felt or have an effect とあり、例文に The government’s proposal unleashed a storm of protest in the press. とあるので、何となく使い方というか、意味が違うのではと思わせる。

「お前ならどのように言うか」と尋ねられたことを考えて見えれば、精々 release でも使って Release yourself from day-to-day(the daily) constraints. 程度しか思いつかない。先ず、unleash は出てこないと思う。何れにせよ、このCMの制作者の英語の語彙の大きさには正直に言って敬意を表したい。皮肉を言えば「これぞ我が国が目指す英語教育の輝かしくない成果だ」なのではないか。

ここまで言ったのだから、マスコミが使いたがるおかしなカタカナ語の例を追加しておきたい。それは up と down の濫用というか誤用である。この手の誤用には in と out も加えて良いと思う。先ず言っておくべき事は「これらの言葉は決して動詞ではない」という点だ。だが、カタカナ語では恰も動詞の如くに使われている。

実例を挙げれば、スポーツ選手たちは屡々「もっとレベルアップしなければ」と言うし、現に「レベルダウン」も時には登場する。「レベル」は技術の意味で使われていると思う。であれば、英語では精々 improve the level of my skill のように improve くらいしか私には思い当たらない。他に典型的な例としては「給与のアップ」というのがある。これは増額であるから promotion かincrease だろうと思う。

「ゴールイン」というのもある。世界各地のマラソンに遠征されている高齢の女性が我がジムの会員におられる。全て完走されてその記念のTシャツを貰ってこられてはジムでの練習に着用しておられる。そこに出ている英語は Finisher であって、Goal inner ではない。自動車のレースに「ピットイン」というカタカナ語が出てくるが、英語では pit stop なのだ。重ねて言うが、これらを動詞で使うのは英語の教育上も誠に宜しくない。