微増ながらの7年連続のプラス成長:
毎年恒例のことで、アメリカの紙パルプ産業界の専門の調査・研究機関、RISIの集計が漸く纏まって公表された。これは例年よりも1ヶ月ほど遅れている感がある。
それに依れば、世界の紙・板紙の需給は消費が対前年比で+1.0%の4億1,358万トン、生産も+1.0%で4億1,086万トンだった。これで7年連続のプラス成長であり過去最高を記録したことになる由だ。
取り急ぎ国別の生産量を見れば、中国が世界第1位で1億1,128万トンで対前年比2.9%の成長。第2位はアメリカで7,212万トンで0.66%のマイナス成長、我が国は第3位で2,628万トンで+0.19%の成長だった。4位が韓国で1,165万トンで対前年比では+1.29%、5位はインドで1,126万トン0.19%の成長だった。
私が最も興味深く見ているのは各国の人口1人当たりの消費量である。それは、何時も述べてきたように嘗てはこれが各国の文明発展のバロメーターであったものが、今やICT化がここまで進めば、先進国では悲しいかな毎年のように1人当たりの消費量が減少し、印刷(紙)媒体の衰退度を示す指標となってしまったことを示すからである
その消費量を見れば、第1位はベルギーが310.9 kgで対前年比△0.6%、2位は前年度の5位から上がってきたスロベニアで285.3 kgで+24.4%、3位は前年の2位から後退したドイツで250.4 kgと△1.5%、4位がオーストリアで235.6 kgと△2.2%、5位はアメリカで、218.6 kgで△0.9%、6位は我が国で208.7 kgと△1.0%、7位はフィンランドで202.8 kgと△5.2%、8位には前年4位のUAEで202.8 kgで△14.2%、9位は前年11位のニュージーランドで200.4 kgで+4.0%、10位は韓国で193.8 kgと△1.8%だった。
11位以下はオランダ、スエーデン、デンマーク、イタリア、台湾、カナダ、チェコ、ポーランド、スイス、オーストラリアだった。因みに、20位のオーストラリアで142.1 kgと△3.4%、30位のノルウェーでは105.9 kgで+0.5%となっていた。要するに先進工業国では軒並みにICT化が進みつつあると言えるだろう。
中国の数字は載っていないが、私が試算してみれば約77.7 kgとなり、15年度の推定74 kgからは5%程度の成長だったと見て良いと思っている。この数値が中国の掲載力を示すのか、文明の発展度を示すのか、ICTかの度合いを見せるのかは微妙な気がする。ここでも生産量は大きく成長率も世界最大級ではあるが、人口1人当たりで見れば、30位のノルウェーの約73%に過ぎない消費小国なのである。この点はGDPの在り方と共通するものがある。