新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

英語の言葉の分類 #4

2018-09-13 10:12:36 | コラム
Swearwordとは:

「汚い言葉」と訳して置こう。Swearwordが今回の連載の目玉かも知れないと思っている。実は、ここに分類されているような言葉がある事をご存じでない方は非常に多いのである。思うに学校では教えようがないからだろう。だが、不思議なことにそうとは知らずに使ってしまっている人もまた多いのである。Swearwordとは如何なる言葉を言うかの解説に入る前に、是非この言葉についての私の経験談を採り上げておきたい。

私が1972年8月にアメリカの会社に転進して、生まれて初めてアメリカに出張する機会を与えられた。その帰路はカナダ西海岸のヴァンクーヴァーからとなった。そこで母親と家内に初めてのアメリカ出張の記念の土産でも買うかと、空港の免税店立ち寄った。応対してくれた販売員はかなり高齢の日系の女性だった。これはと思った品物が予算を超過していたので何気なく“Jesus Christ!”と口走った。

するとその販売員がキッとなって急に日本語に変わって「貴方は何という言葉を使うのですか。少しくらい英語ができるからと言っていい気になって汚い言葉を使うとは何事ですか。即刻お止めなさい。私は戦争中にここで育った為に日本語も英語も中途半端になってしまったが、それでもswearwordを使ってはいけないくらいは心得ています。これから先は絶対に使わないようにしなさい」と将に声涙ともに下る忠告を戴いた。私は恥じ入って言葉もなかった。肝に銘じた。

このエピソードでswearwordとはどういう種類の言葉かと大体のことはお解り頂けたと思う。

私はこれの定番的日本語訳はないという気がするが「汚い言葉」で良いと思っている。実際にはアメリカに行って多くの人が使うのを聞き、この言葉がそういう悪い言葉だとは知らずに覚えてしまい、つい使ってしまった例に「沢尻エリカの “Oh, shit!”」がある。この shit も使ってはいけないswearwordの一つなのである。Oxfordではswearwordを”A rude or offensive word, used especially to express anger.と定義しているが、私はこれでは弱いと思っている。Websterは”to swear”を”Use profane or obscene language.”としている。

私も当初はこれが如何なる性質の表現であるかを知らずに覚えていた。だが、知らないのは恐ろしいもので、一旦覚えると何となく使ってみたい誘惑に駆られるものであった。この種類の言葉は戦後に駐在した占領軍の兵士たちが日常的に使ってい為に、いつの間にか我が国でも広まったのである。特に「ゴッダメ」=“God damn it.”がその代表格だっただろう。英語が何であるか良く知られていなかったあの頃には、何の躊躇いもなくアメリカ人が使う言葉を真似していたと思っている。

何故いけないかは上に述べたように明かである。それは我々(私?)が所属した言わば支配階層に属するような会社の本社組織に属する年俸制の社員ともなれば、公式の場か人前では絶対に使ってはいけないものなのである。それだけでは具体性がない。これを使うと、言いたいことを強調できるのだが、それが同時にそれを使うことが「語彙の貧弱さ」と「無教養」とを表し「自分が知識階級ではない」と告白しているのと同じことになるのだ。

私は1970年代後半になって迂闊にswearwordを使ってはならないと承知していながら、W社の本部で副社長兼事業部長の前で使ってしまったことがあった。副社長は直ちに私を別室に連れて行って「苟も我が社の本社組織に属する者がそういう言葉を使うとは何事か。二度と私の面前で使うな。外国人の君がそういう言葉を使うのを聞いているだけで胸が悪くなる。少しくらい英語が出来るからといってのぼせるな」と厳しく言われた。そういうものなのである。

次にswearwordの例を挙げるが、それを見て貰えばslangとは明確に一線を画していると解ると思う。

shit.=「チクショウ」か「何だよ」辺りになるだろうが、下品である。「シット」が如何なる意味かは英和ででもお調べを。

hell =「くそっ」か「こんちくしょう」か「ちぇっ」というような意味だが、名詞や句(phrase)の前に置くか合わせて使うとその言葉を強調する役割を果たす。例えば、 hell of a driver と言えば「運転が凄く上手いヤツ」であるし、It’s warm like hell, today. と言えば「今日はくそ暑い」となる。He is a hell of a salesman.=「彼は凄腕のセールスマンだ」となる。There were awful hell a lot of people in the room.と言えば「部屋の中には物凄い数の人がいた」となる。

heck=私はhellの変形だと思っている。例えば What the heck.と言えば「なんてこった」であるし、場合によっては「知ったことか」にもなる。上の例文ではa heck of a lot of peopleにも置き換えられる。

bloody=これは寧ろUKで使われている言葉で、hellと同じように使われている。例えばHe is a bloody fool.で「とんでもない馬鹿」となるようなもの。

bull shit=これも「コンチクショウ」であり「この野郎」にもなるだろうか。“horse shit”と言う場合もある。

God damn it! これも「コンチクショウ」で、日本語でも余り褒められない表現だ。

Jesus Christ.=「なんてこった」か「コンチクショウ」辺りが訳語だろうか。

fuck.→日本語に訳すのも躊躇うような言葉。fuckingとも言う。

ass hole=日本語にも「何とかの穴の小さい奴」という表現があるが、それとは意味が違うものの、汚い言葉の代表格であろう。

Oh, brother.=「何としたことか」とでも言おうか。

「オーマイガー」(=Oh, my God.のことらしい)が近頃テレビで大流行だが、これも好ましくない”swearword”だと知るべきだ。何故にテレビ局はタレントどもに言わせ多用するのかと思う。どうしても言いたければ”Oh my!”辺りが限度だ。

要注意事項:

汚い言葉の例はまだ山ほどあるが、この辺で打ち止めにする。その言葉がswearwordかどうかの判断の基準には、先ず”four letter word”がある。日本語と妙な符号であるが4文字の言葉を指す。例えば上記の例にも4文字のものが幾つかある。次が動物である。そして最後に宗教関連である。その例は上に掲げたが”brother”もそのうちだろう。

ここに採り上げた分類ではidiomを除いては十分に注意して使うようにすべきである。特にswearword=「汚い言葉」は絶対に避けるべきだ。迂闊に使えば上述のように品格の問題になる。残る二つについては時と場合を熟慮して使って欲しい。だが、例を挙げてくれなくてはどれがそうと解らないと言われそうだが、対策を述べておくに止める。

それは、数年前に気が付いたのだが、映画やテレビのドラマに出てくる警官や守衛等の役ではこの言葉が多用されている。私は口語を知ろうと思えば映画を見ると良いと言ってはきたが、英語を学ぼうと思って気安く副音声にしないことだ。私が最も巧みにswearwordを操っていると見た映画は、一寸古い例になるが、“Die hard 2”の空港警備隊のLorenzo隊長役だった。この役者は日常生活でもこの言葉だけで暮らしているのかと思うほど巧みだった。

参考までにswearwordを知って置こうと思われれば、このDVDかVideoを買うか借りて見ることか?これ以外では、アメリカ人を主体として外国人と話をしている時に生ずる問題だから、こちらが知らずに使ってしまったか否かを相手に尋ねればよいし、相手が使ったと思えば”What do you mean by saying so?”であるとか、”What do you mean by using such an expression like hell of a sales person?”とでも質問する方法もある。