新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

時代はunpredictableか

2018-09-20 15:25:22 | コラム
世界の変化は大きくて早い:

文在寅大統領と金正恩委員長の平壌での会談の報道を見ていて考えさせられた。北に傾いているだけの偏向大統領だと言わば過小評価したかった文在寅大統領が、着々とその理想だったような南北統一に向かって歩みを進めているだけではなく、トランプ大統領と金正恩委員長との歴史的(なのだろう)会談の切っ掛けを作るなど世界に変化をもたらす実績を築き上げているのだ。トランプ対金会談の実現は「瓢箪から駒」のような感なきにしもあらずだが、文在寅大統領が貢献したのだと言えるだろう。

トランプ大統領の出現も世界の大きな変化の一大原因となっただろうと思う。トランプ候補の頃からアメリカの知識階級には泡沫扱いしている者が多かったし、嘗ての我が同僚は「彼が大統領になれば disaster (災害、天災、大惨事、大災難とジーニアス英和にある)だとまで言っていた。ある特派員は「トランプ大統領がやることは unpredictable (予測不可能)だと指摘した。

だが、誰一人としてトランプ大統領が「アメリカファースト」を掲げて中国をあそこまで叩きに出ると予測できなかったし、岩盤の支持層であるラストベルトをにはjobを増やして大いに喜ばせと予見していなかった。法人税率を引き下げて公共投資を増やして景気を回復させるとは予告しなかった。即ち、一部にはdisaster だったような面もあるが、予測不可能だった経済面での実績を残しつつあるのだ。我が国に対するトランプ政策による負の面が出てくるのはこれからだろうが、余程気を引き締めてかからないと、打撃を受ける結果になりかねない。

習近平国家主席も世界に大きな影響を与えつつあるが、その独裁者的な手法がトランプ大統領の関税賦課という強烈な手法で中国を徹底的に叩く方向に進ませたと思って見ている。集主席の手法は飽くまでも強引で「俺の行く手は誰にも遮らせない」とばかりに南シナ海は勝手に埋め立てて軍事基地は造るし、アフリカの経済的に困窮する国に対しては甘い囁きで融資をして手懐けていくやり方で橋頭堡を築いている。格差があろうと何だろうと、13億の人口があれば経済大国にのし上がれると立証したかに見える。私はこれから先にトランプ大統領率いるアメリカとどう折り合いを付けるかに興味がある。

プーテイン大統領のロシアも強引さでは誰にも負けていない。クリミアだって獲ってしまったし、各国の首脳がいる前でいきなり安倍総理に「前提なしに平和条約を結ぼう」などと平気で領土問題を棚上げにする話を持ちかけてくる。だが、如何にプーテイン大統領が豪腕であっても、経済的には最も弱い国だし、ついている味方と思える国が幾つあるのという問題も抱えているのではないか。安倍総理が22回も重ねた会談の後であれを言い出す太太しさは、我が国のリーダーには備わっていないと危惧する。

さて、我が国である。安倍総理は第二次内閣発足以来悪い言い方かも知れないが「安倍晋三個人の外交」を展開され、世界の多くの国々の指導者との間に密接な関係を確立され、その安倍晋三外交の成果を着々と挙げてこられた。だが、問題は肝腎の外交を担当しているはずの外務省は、一向に補佐役として機能していると見えないのだ。例えば、プーテイン大統領と会談されると解っていたのだから、事前に何を切り出されるかくらいを少しは探っておいても良かったのではないかといたい。いや、想定可能なagendaくらいは総理にあげておいていなかったのかと思ってしまう。

ここまででハッキリしたことは安倍総理を除けば、各国の首脳は皆国会に束縛されていない大統領か主席か委員長なのだ。野党すら存在していない国に君臨している存在すらある。総裁選挙を経て国会の議決を経て首相や大統領になっている人はいない。野党と有志連合を組んで指導者の足を引っ張ろうとするメデイアすらない国もある。その最も不利な条件を背負って懸命にやっておられる安倍総理率いる我が国は民主主義を標榜しているのだが、これは何と言う不便な主義なのだろうかとつい思ってしまう。

私は長い間アメリカでは関税を賦課したりその率を引き上げるのは、他国の廉売による被害を被った業界が商務省に請願することに始まるのだと思い込んでいた。そこから商務省が調査を開始して実害を認めて初めて貿易委員会が承認するという段階を踏むとばかりに思っていた。ところが、トランプ大統領はその手続きを経ないで済む通商法第232条で大統領の権限を行使して、関税率の引き上げ可能という条項で対中国との貿易戦争に打って出たのだった。中国叩きそのことには異存はないが、関税を大統領が恣意的に引き上げられるという項目に着目したのには驚いた。

世界には今や強力にして幅広い権限を持つ(強引に取得した?)指導者が表に立って、それぞれの国を引っ張っていく時代となったように思える。いや、民主主義など「そこのけそこのけ、俺様が通る」という時代になってしまったかと思う時もあるほど、指導者の手法が変わってきた。その時期にあって安倍晋三氏が自民党総裁に三選された。内閣改造も予定されているかのようだ。

安倍総理の独り相撲に終わることがないように、自民党だけではなく、野党もマスメデイアも余程しっかりと我が国が置かれた難局を認識して内閣を支えていかない限り、民主主主義と議員制内閣の限界を知る時が来るかも知れない。野党とマスメデイア連合には揚げ足取りなどに憂き身をやつしている時ではないと自覚して貰わないといけない時期だ。世界の情勢の変化は速度も速く規模が大きい時代なのだ。