相手が弱すぎた対エルサルバドルの試合:
昨15日の夜は第二次森保一内閣ではなかった、森保新監督率いる全日本代表対エルサルバドルの試合を観戦した。だが、我が方がFIFAのランキングで20位なのに対してエルサルバドルが75位とあっては圧勝を期待するしか興味がなかった。確かにスペインリーグで活躍中の背番号20を付けた久保建英を中心に楽勝してしまった。結論めいたことを言えば「勝って当たり前」なのである。
しかも、開始2分でエルサルバドルのペナルティーエリアに迫っていた三笘薫が、往年は「バックチャージ」と呼ばれていた後ろから当たる反則で倒されてFKとなり、それを久保がサイドキックで見事なスライスをかけた絶好の球をディフェンスの裏側に上げ、そこに谷口が突っ込んで鮮やかなヘディングシュートを決めて先制してしまった。これでは相手の力を評価させて貰う時間もないままに「勝負あったか」と見ていた。
しかも、その直後に今度は相手のディフェンスが自陣深い位置でパス交換を誤ったのを頂戴した誰だったかがドリブルでペナルティーエリアに入ったところで、またもや悪質なバックチャージ風な当たりで倒してしまいPKとなった上に、そのセンターバックが「一発レッドカードの退場」となってしまった。言うなれば、弱者が1人少ない10人で遙か格上のティームと試合を続行することになったのだった。興味半減どころではなかった。
こうなってしまったのでは、興味は格上の新生全日本が何点を取ってみせるかと、新顔の中に将来有望と思わせる者が何名いるかしかなくなってしまった。結果は4対0で前半を終わったのだが、私には不満足な出来だったとしか思えなかった。そこで、不満だった点を挙げれば、先ず「久保以外にチャンとした決定力が備わった者がいれば、もう2~3点取れていても不思議ではなかったこと」である。これは以前から指摘してきた「決定力不足」が改善されていないこと。
次は昭和20年からWM方式の蹴球に慣れ親しんできた私から見れば「何故、1人少ない格下を相手にして、所謂セーフティ・リードとも言える2点を先取しながら、一寸でも前が空いていないか相手のディフェンスが引いていると見るや、アナウンサーが勝手に好意的に言う「リビルド」とやらで、一旦後方に下げて吉田麻也が中心になって延々と続けたバックスの間でのパス交換を、新メンバーでもやって見せたこと。「何をやっているのか」と怒鳴っていた。
その消極性にウンザリして、後半を見ないで3試合中継されていたセントラル・リーグ対パシフィック・リーグの対抗戦に切り替えた。但し、後半はメンバーを入れ替えるだろうから、何点追加できるという関心はあった。何と11人いても2点しか取れていなかった。聞けば、監督は後半には久保を引っ込めたようで、それでは満足なフリーキックを蹴れる者がいなくなってしまっただろうと感じた。遠藤保仁と中村俊輔が引退して優秀なキッカーは久保だけなのに。
これは持論であるが「海外というかヨーロッパに出ていた者たちの中には久保には及ばないまででも、それなりに成長しているのだ。だが、日本に帰ってきて周りが日本人だけになると、ヨーロッパで通用していた神通力が一向に発揮されない」のである。上田綺世などはその典型的な悪い例だと見ている。何故威力がなくなるのかと言えば、周りには全世界から集まった名手たちがいないからだと思っている。要するに「彼らを活かせる者がいない」ということ。
だが、正直に言えば昨夜の試合だけで彼らの評価を決めるのは時期尚早だと思う。中には初代表で明らかに足長族を相手とした場合に如何に対処するかを知らないディフェンダーもいた。彼らも次のW杯までの3年があれば、俗に言う「赤子でも3年経てば3歳になる」のだから、精々経験を積ませておくことが必要である。
振り返ってみれば、大学生になってから外国人のクラブとの試合で「何でここまで足が出てきてインターセプションなのか」と、悩まされた経験があった。これも経験を積むか、ヨーロッパに出て行けば自ずと対応できるようになるのだ。
例によって何も良いところがなかったかのように批評しているが、良いところは何時もアナウンサーと解説者が一所懸命に強調しているから、お任せして何も私が出て行く必要などないと考えているからなのだ。来週に試合に期待しよう。