新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

休暇を考える

2014-08-24 11:03:24 | コラム
旧盆の大移動に思う:

第一部:
自慢でも嘆きでもないことで、私は東京市小石川区駕籠町で生まれ、現在は新宿区に住んでいるために帰りたい故郷がないのである。言い方を換えれば、旧盆だろうと正月だろうと何だろうと行くところがないのである。尤も、日本の会社で働かされて頂いていた時の大阪支店勤務をしていた時期には、家族とともに年末に東京ならぬ疎開からそのまま住み着いた藤沢に帰る事業があったが。

その際でも大阪から東京に帰る者の数がその反対の方たちよりも圧倒的に少ないとは申せ、、出来たばかりの新幹線の切符を確保して兵庫県から新大阪駅まで行くのはかなり疲れさせられる作業だった。1960年代では経費もかなりの負担だった。それに懲りてかも知れないが、その後には如何なる時期でも民族の一斉大移動の時期に何処かに出ていくことをしないようになった。

第二部;
アメリカの会社に変わってからは、一度だけ止むを得ぬ事情があって8月の旧盆に帰国の時期に食い込むアメリカ出張をしたことがあった。8月のワシントン州シアトル付近は冷房を付けていない車が沢山あることが示すように、誠に涼しく湿度も低く快適だった。但し、8時を過ぎても日が暮れないのには馴れておらず、やや混乱させられた。何れにせよ、このまま日本に帰りたくないと思わせてくれたのは間違いなかった。

成田に帰ってきて驚いた。当時はトローリーケース(キャリーバッグかキャリーケースは造語である、念のため)が導入されていない時期だったので、カート(手押し車?)が必要だったのだが、その列に並ばせられたのが延々と1時間。入管と税関を終わって出てきたらさらに2時間近くが過ぎていた。そこから先は当時住んでいた藤沢まで帰ろうにもバスも、成田エックスプレスも京成スカイライナーも2時間以上待ちだった。

当時はバスで横浜のYCAT経由で帰っていたが、そのバスも2時間待ちで、結果的には最も待ち時間が短かった東京か新宿駅だったかまで行くバスに乗って、また乗り換えてJRで藤沢まで行った。余談だが、藤沢からまた小田急乗り換えが待っているのだ。成田から先で自宅までに費やした時間でアメリカまでの片道に相当した。もう8月は懲り懲りだと思った。

こういう経験があったので、旧盆だろうと何だろうと、出ていかないようになってしまったのだ。我が国の文化では「皆一斉に」というか「皆でやろう」ないしは「全員一致で取り組もう」となっているので、それに従うべきだろうが、それが先頃の旧盆での高速道路渋滞の報道となって現れている。

一方、何事でも個人が単位であり、その主体性というか趣味趣向次第とでも言えるかと思うように、アメリカでは休暇を取るのは各人の勝手であり、一斉にということはない。しかも一旦休暇に入れば1週間どころか何週間でも帰ってこないのは当たり前だ。我が国の一部にはこれを羨むというか、如何にもアメリカが先進的であるかのように言う向きがある。

これは大いなる誤解であり、文化の違いを弁えていない見方だ。簡単に言えば「全てが個人単位」である以上、自分の仕事を放棄して自分の楽しみのために家族を伴って休暇を取っている間は、誰もその人の仕事を代行してくれないのが当たり前なのだ。放置されているのだ。「秘書がいるのでは」などと考えるのも誤りで、秘書はボスの仕事を代行するだけの給与を取っていないし、そうするとは規定されていないのだ。

故に、休暇明けで復帰した時に整理されずに残っていた仕事を片付けるのは大変なことだ。考えずとも解ることだが、復帰した以上残務整理以外の日常の業務は待ってくれないのだ。それが如何に大変かは経験してみなければわかり得ないこと。ここまでで、アメリカの休暇制度が決して羨ましいものではないとお解り願えれば、ここまで述べてきた目的が達成できたことになる。「お前はどうしていたのか」は何れ語るようにする。

知らなかった

2014-08-24 10:05:37 | コラム
ITからICTへが欧米では普通だそうだ:

紙パルプ業界専門の出版社である紙業タイムス社の週刊誌「FUTURE」の9月8日号に、この掲題の記事を発見した。そこを一部引用すれば、

“日本では2000年11月にIT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)が制定された。(中略)ITという用語は日本だけで定着した用語であり、欧米ではこれに通信のCを加えたICT(Information and Communication Technology)という用語が普通である。日本はこれまで通信インフラをの整備をを終え、これからは国民の誰もがネットワーク上でつながる通信を重視して、総務省は2005年にIT政策大綱と改めた。(以下略)”

正直で且つナイーヴな感想は「知らなかった」だった。何と、その項目を読み終えた瞬間に見えたテレビのCMが「NTT ICT Solutions」だったのには驚かされた。欧米では普通と言われたばかりなのに、NTTは既にCMに使っているではないか。だが、何と自分が時代に遅れているのかという類いの反省をする気はない。こうして時代の後続集団の中にでも入れたことを後期高齢者としては誠に幸せだと思って、紙業タイムス社に感謝した。

そこで遅ればせながら検索をかけてみれば、OCNのサイトでも詳細に解説されていた。私自身も「IT化」等という表現を使うことがあるが、それが果たして科学的に適切であるかどうかなど余り深く考えたことがなかった。そこに、今度は「我が国では絶対に遅れてはならない欧米」で普通に使われている用語がICTであるならば、時と場合を十分に考慮してこの用語を使っていこうと考えているところだ。

昔から言われているではないか「知らぬは一時の恥」だと。

我が国の現状分析

2014-08-23 16:26:20 | コラム
我が国の現状を悲観論者が見れば:

近頃マスコミ報道では「9月に内閣改造があり、石破幹事長の処遇が最大の懸案事項」や「4~6月期のGDPが6.8%のマイナス成長だった」であるとか、「来年に消費税を10%に引き上げるか」に加えて「アベノミクスは成功しているのか」等々が取り沙汰されている。

私は政治問題に踏み込むのは所謂専門家にお任せするとして、悲観論者として経済面を考えてみようと思うに至った。先ず、GDPのマイナス成長は織り込み済みだったとしても6.8%は大きすぎた感があり、さらに10%への引き上げの判断材料になると多くの識者が指摘する7~9月期の成長率にはそれほど楽観的にはなれない。

畏メル友にして論客のYO氏からのお知らせで知ったのだが、MH氏は「最近、日本のトップもからきしですからね」と指摘しておられたのには「極めて同感」と言わざるを得ない。私は1994年1月のリタイヤー後には幸運にも色々な分野の会社で実務を担当する管理職になる前のバリバリの若手から「現在の課長から部長以上、または50歳台前後の者たちが消えてくれないと、当社の将来に希望が持てない」という率直な声を屡々聞かせていたものだった。その忌避された世代が現在の経営者層ではないのかな。

この声と濱田氏のご指摘には共通するものがあると考えている。ある大手企業の社長から会長を務められた私と丁度同年の方は、個人的な感想だった由だが「経営者の劣化」を指摘されたと仄聞する。私はこの指摘にも鋭さを感じるし、甚だ遺憾ながらその通りではないかと思っている。誤解なきよう申し上げて置くが、全ての産業で経営者が劣化したという意味ではなく、そういう方が増えたのではないかということと、会社の好況が産業次第で跛行的だと考えているのだ。

次ぎに指摘したいことは「我が国の景気の消長は安倍総理が主導されたアベノミクスに全面的に懸かっている訳ではない」という点だ。簡単に言えば「総理は政治的指針を示されただけで、実際に産業を動かしているのは経営者たちで総理ではないという意味だ。その経営陣が「からきし」であるとか「劣化」してしまっていては、アベノミクスの効果上が上がってないこともあり得るのではないか。

それにマスコミは何かと言えば如何にも安倍政権の失態であるかの如くに「長引く貿易赤字の連続」を論うが、これも奇妙な論調ではないのか。福島の原発事故の対応を致命的に誤り、全ての原発を格好を付けて停止させ、火力発電のエネルギー源を輸入に依存せざるを得ない政策を打ったのは民主党政権であり、菅直人の主導だったのではないのか。この愚策が赤字の主たる原因ではないのか。

貿易赤字の原因は何も国内だけにあるのではない。我が国の高品質の製品の特長を活かしさらに為替の利点を活かして輸出に打って出ようにも、全世界何処に行っても不景気に深刻に悩み、活発に新規に輸入に依存しようという状態にはないのではないか。アメリカにしたところで、オバマ大統領は自国の製品の質も弁えずにTPPまで使って輸出振興策を唱えているが、一向に好転していないではないか。中国の経済を不安視する評論家が増えているではないか。

問題を経営者の質に戻せば、私が繰り返し指摘したことで、現在の経営の在り方からすれば、ここで一気に大幅な昇給をさせるだけ会社を好調に導いている経営者がどれだけいるのかを指摘したい。安倍総理が何度給与の引き上げを望まれたか。マスコミはトヨタのように世界的に成功してる会社の例だけを挙げるが、現職を離れて久しい私には給与の実態を知り得ないのだ。

マスコミ論調を見れば「ブラック企業のリスト」に上らせられた会社がどれほど増えてきたか。経営者たちがどれだけ姑息な手法に依存し、社員から非正規社員までに辛く当たっているかを考えておくべきだろう。

私は「このような経営方針は不景気によるものか、経営者の劣化の結果か」は「鶏が先か卵が先か」の論に似ていると感じている。だが、思うに両方なのではないのか。現に住宅関連と自動車の売れ行きが芳しくないとの指摘があったが、これも何度も述べてきたように「景気回復は未だ未だ」という信号ではないのか。
即ち、7~9月期の結果を見るまでもなく、消費税の更なる引き上げを実行した場合のGDPがどうなていくかが見えてきそうな現実というか、景気の実態ばかりのような気がしてならないのだ。

我が国を貶めるような自虐的な報道をする一部の新聞は、安倍総理の内閣改造や党人事をマナス面から云々しているが、現政権を危機に追い込むことが「国益か否か」くらいは彼等にも解りそうな気がするのだが、そうでもないらしい。彼等は本気でもう一度海江田率いる民主党に政権を担わせたいとでも目論んでいるのだろうか。まさか!

何をするのかISPは

2014-08-23 08:13:51 | コラム
私の小さな悩み、着信拒否:

最近1週間ほどの間、ほぼ毎日のようにある出来事に悩まされている。気が重くなる。それは何と言って表現して良いのか解らない、私が依存するサーヴァー(internet service providerで良いと思うが)が引き起こす送信先での着信拒否のことだ。

それはある特定の会社で起きることだ。しかし、アメリカでは私が一般家庭に送る Email の着信も拒否されている例は何年も続いている。これは2000年以後のことで、アメリカの会社以外というか個人に送ると「迷惑メール」扱いにする ISP があるということ。その原因は、私の ISP からは「私のメールアドレスを盗んだアメリカ側の何処かの誰かがそれを使って、大量の spam mail を送信したことに発することによる」と言ってきている。

現に、私宛にも私のアドレスから大量に送られてきていたことがあった。その迷惑メールの90%はバイアグラの売り込みだった。アメリカではアドレスから送信者の年齢まで読み取るのかと感心したが、一方では私を何かに悩める老人と見なしているのかと不快にさせられたものだった。

従ってというか、そうかも知れないと言うべきか私には解らないが、私の ISP の三つのアルファベットを使ったアドレスから送られる Email を迷惑メール扱いにされる場合が国内でもあるのかも知れない。

今回の特定の会社での拒否についての ISP の言い訳は「その三文字が入ったアドレスから大量の迷惑メールが送られた実績があったので、この三文字が入ったアドレスからの Email を着信拒否されている場合がある」である。私にはこれは「誰の責任でもないかも知れない」という言い訳のように読めてしまう。その会社の方からは親切に対策を教えて頂いているが、何分にもこの道に暗い私には未だ着手できていない。

私は問題解決のボールは ISP のコートに転がっているのだとしか思えないが、彼等からは数年前に「対策を講じている」と通告された。どうやら未だ「講じつつある」状態に止まっているようだ。しかし、日に一度以上こういうこと側が身に降りかかると、年齢により神経が細く弱くなった私には大きな負担となる。速く救済の手を打ってくれと愚息に依頼せねばなるまいか。

北米大陸と我が国を比較すれば

2014-08-22 15:33:58 | コラム
矢張り最大の違いは国土の広さか:

俗説かも知れないが「我が国の土地の約70%以上が山か丘陵で平地は僅か。その中でも住みやすいところが太平洋岸に集中」と言われている。私はこの言い方でアメリカ人に両国間の違いを説明し、だからこそ太平洋岸が住むのに最適で自然に東京のように人口密度が高くなるのだと解説していた。

その70%には十分に管理されていない山林が多くあるところに、問題を生じる余地があると言えるのではないのか。一方、北米大陸にはロッキー山脈を除けば意外に山や丘陵が少なく、居住地向きなところが多いと感じていた。換言すれば、平野が限りなく広がっているとでもなるか。

嘗て、唸声さんに計算して頂いたことがあったが、W社が保有する森林地は約700万エーカー(その頃は680万)。1エーカーが約1,200坪で、四国より広いとか。これまでに何度か指摘したことで、ワシントン州シアトルの南約40キロにあるW社本社からヘリコプターで1時間南下しても、州内の自社の山林の上を出て行かない。尤も、一部は州有林だが、それが何処でどのように区分されているかは上空からは解らない。故に、州内のあの辺りでは空気が綺麗な訳ではと思うこともある。

余談かも知れないが、木材資源が紙パルプ産業の乱伐で何時かは枯渇するとの説を信じておられる方には、このヘリコプターのツアーにご案内すると、先ず100%その説の誤りを理解していただけたものだった。


その森林の管理は実際に山を林道(logging roadと教えられた)を車で登って伐採している現場を見ないと「林業は産業なんだ」とは理解できないと思う。私はお恥ずかしながら、自分の会社の伐採した丸太を林道に止まっているトラックに乗せるまでの作業と工程を見て、その規模と意外なほどの合理性に驚かされ、自らの無知を恥じた。

また、最初に転身したM社ではカナダBC州のパルプ工場に行って最初に見学させられたのが、ごうごうと音を立てて操業している製材所だった。そこで発生した残渣チップと大鋸屑等もがパルプの原料になるのだと教え込まされたのだった。即ち、パルプ工場は製材所の副業ではなく製材をやらねばチップが出で来てこないということだと知るに至ったのだった。

ここまでで言えることは、北米大陸ではあの広大な土地で林業も農業も展開するので、その他の産業でも規模が我が国と違い過ぎるということだろうか。この広大な土地があり、地価が我が国とは比較にならないほど低いことが、アメリカとカナダが持つ優位性だと思う。因みに、ヘリコプターは1時間で200キロは飛んだと聞かされたのだが、その真下の5号線を車で走ると、約3時間かかったものだった。

在職中はこの200キロ離れた工場と本社の間を何度も車で日帰りで行ってきたものだった。私は運転できないから別だが、その400キロも走って何と思わないアメリカ人たちの体力には感心するだけだった。日帰りという意味は、一旦出社してから工場に出掛け、帰ってきたまた仕事に戻るか、案内したお客様と夕食後に野球を見に行ったりするのだ。自慢する気もないが、この工程を共にしていた私も大変だった。