ロシアとアメリカは戦略安全保障問題に付いて話し合う、新たな政府
間作業グループを創設する。これはホワイトハウス・スポークスマンが、
ワシントンでロシアの記者団に対し明らかにした。
これに付いてロシアの声の政治評論委員は、次のようにコメントして
いる。
今回のロシアとアメリカの決定は、極めて示威に叶ったものだといえ
るだろう。何故ならこの分野におけるこれまでの両国の協力は、不十
分なものだったからだ。ロシアとアメリカの間で結ばれた、戦略兵器
削減条約はまもなく失効することになっている。一方戦略攻撃能力削
減条約や、欧州通常戦力条約などの軍縮に関する条約で定められた
義務を、アメリカが成功するかどうかに付いてロシアは疑問を抱いてい
る。
一方最近アメリカは軍事費を大幅に増額しており、その額は5千億$と
いう天文学的な数字に達している。この点に付いてはプーチン大統領
もロシア議会上院国家会議宛に宛てた、自らの年次教書演説の中で
指摘している。
またこの年次教書演説では大陸弾道弾に、通常の弾頭を搭載すると
いうアメリカ国防総省の計画は、世界情勢を不安定化させる性格を帯
びたものであると指摘されている。
これはロシアにとって受け入れ難いものである上に、アメリカは今、ミ
サイル防衛システム構築の枠内で、ポーランドやチェコといった東ヨー
ロッパの国々に、新たな基地を建設しようしている。
ちなみにご存知のようにアメリカは1972年に結ばれた、弾道弾迎撃ミ
サイル制限条約から一方的に脱退している。
さらにロシアはアメリカが小型核弾頭を、製造しようとしていることに付
いても懸念を表わしている。
ロシアのラブロフ外相は、こうしたプロジェクトに付いて情勢を不安定化
するものであり、また核兵器利用の可能性を高めるものだとの評価を
与えている。というもの恐らく西ヨーロッパの10カ国には、いわゆる冷戦
時代から残されたアメリカの戦略的核ミサイルが、依然として存在して
いる筈だからだ。
さらによく知られているようにアメリカは、宇宙の兵器軍事化に関する条
約に署名するという、ロシアと中国の提案を拒否している。このこともま
たミサイル防衛システムの宇宙基地の一部を、地球周辺の空間に配置
する
というアメリカの計画と関係がある。
戦略安全保障に関するロシアの懸念は、今挙げた問題だけでは無い。
ですから今週予定されている、アメリカ国務省のロバート・ジョセフ軍備
管理国際安全保障問題担当次官のモスクワ訪問で、取り上げられるべ
き議題は数多く存在している。
尚、ロシアとアメリカの新しい政府間作業グループの、第一回目の会合
は6月15日にモスクワで開かれる。
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6月14日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル
