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テヘランでの中国・イラン交渉の意味するもの

2012-02-20 | ラジオ
イランは国連安保理事会常任理事国5ヶ国に、ドイツを加えた6ヵ国の代表者と自国の、つまりイランの核プログラム問題に関する協議を、一日も早く再開する事で合意に達した。
これは首都テヘランでのイラン・中国交渉を総括する、声明の中で明らかになったものだ。
交渉にはイラン国家安全保障最高評議会のジャリリ書記と、中国外務省のマ・チャオスィ補佐官が出席した。
この声明は最近、EUのアシュトン外交安全保障上級代表が出した提案、交渉のテーブルに着くようにとの提案に対するイラン側からの初めての反応だ。

これまでイラン当局は6ヵ国協議の調整役としての、アシュトン上級代表に対し同様のイニシアチブを出したが、欧米諸国はそれをすぐさま退けた。
今回の中国外務省の仲介努力は、恐らく成功したように思われる。しかし中国の積極的な外交努力のお陰で前進がみられたとはいえ、欧米がイランとの交渉の開始に事前に条件をつけようと試みる可能性も否定できない。
中国政府はイランの核問題を、イランでの交渉における主要な唯一のテーマと捉えたが、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所・国際安全保障センターのソトニコフ研究員は、また別の見方をしている。
「中国代表は他のデリケートな使命も成し遂げたと思う。軍事紛争時の中国とイランの行動の調整に関して意見交換をしたのだ。
今後数ヶ月の間に、イランをめぐる状況が崩壊するような事はないとは思うが、その先を見ている中国は予め、今後何が起こるのかを計算している。全世界におけるアメリカとの対立を考慮に入れながら、経済的なものを第一に、そしてそればかりでなく政治的な自分達の利益を賭けたのだ。
中国は将来の状況を頭に入れて見ている。なぜなら中東の状況の崩壊は、中国にとって大きな損失をもたらすからだ」
研究員は、このように述べている。

そうした場合、ま、中東での状況崩壊だが生じ得る損失は、中国がリビアで受けた、そして北アフリカのスーダン、て南スーダン間の紛争によって、現在もたらされているより、もっと大きな何倍も大きなものになるだろうと思われる(相変わらずくどい)。
およそ400億ドルの投資が無駄になり何十もの企業が破産し、石油供給の目処も立たなくなる。このようにイランにおける損失は、中国にとってより大きな痛手となるだろう。
アメリカとイスラエルはすでに、攻撃は先ずイランのエネルギー施設や、つまり石油コンビナートなどのですが、そうしたものまたインフラ設備になされるだろうと警告した。まさに中国の基本的な投資が集中している部分ばかりだ。おまけに中国の石油輸入の11%がイラン産だ。

さらにイランとアメリカとの間で軍事紛争が勃発した場合、キルギス、タジキスタンそして当然ながらトルクメニスタンといった国々が、不安定ゾーンになる可能性が出てくる。
トルクメニスタンは中央アジアで唯一、イランと国境を接する中央アジア国家だ。それゆえイランで一旦事があれば、紛争から逃れて沢山のイラン難民が流れ込むことだろう。
こうした国々では、中国の存在感がかなり大きいと言われている。カザフスタンを含め中央アジアの多くの国々は、イラン向け輸出品の積み替え基地になっているからだ。
中国政府は、ここ数ヶ月こうした国々へ、イランをめぐる紛争時の立場を説明するため特使を派遣してきたが、明確な答えは得られなかったと見られる。

イラン問題の力による解決の可能性を中国は、中央アジアにおける自国の利益に対する深刻な挑戦状、注意と受け止めている。
今や中国政府はイラン政府の出方を慎重に見ながら、この地域の政策を立て直さなければならなくなった。
中国政府の高官がテヘランで期待した答えを耳にしたのかどうか、それは当事者にしか分からない。
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2月14日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル