Fish On The Boat

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『人類の歴史を変えた8つのできごと Ⅰ』

2012-12-16 22:48:26 | 読書。
読書。
『人類の歴史を変えた8つのできごと Ⅰ』 眞淳平
を読んだ。

岩波ジュニア新書です。
2冊組のまず1冊目では、言語・宗教・農耕・お金の4つについて、
発生から伝搬、現代までの発展と、今の状態を説明しています。

とくに、宗教と農耕の章が僕には面白かったです。
宗教がいかに、その時代時代の社会情勢や国家などに影響されるかということ。
農耕の章では、アメリカ、イギリス、ドイツ、インド、そして中国、韓国、サウジなどは、
ウクライナやロシアだとかの他国の農地を買収する動きを見せているとの記述があり、
それだけ世界的に食糧問題は重大なのに、
日本は畑や田んぼを潰す方向で動いてることを鑑みる心境になりました。
1970年代以降の世界的な農作物の収穫量の伸びは、化学肥料によるもので、
農地自体はもう拡大できないくらいだという話があるそうです。
その化学肥料による収穫量の伸びも近頃は鈍ってきたそうです。
どれだけこれから農地が大事なるかっていうことですよね。

言語とお金の話も、基本を踏まえていて面白いです。
お金でいえば、ホームレスマネーと呼ばれる余剰資金についての記述の中で、
とくに、石油や穀物に投機する人たちとそのメカニズムについては
もうちょっと詳しくやって欲しかったところ。
というか、投機というものが、お金がお金を産む金融工学と呼ばれるものから
発生したもので、それらの方法が蔓延し市民権をえたがゆえに企業が
育たなかったり、研究開発に資金が充当されなかったりといった害が
でてきていることにも触れてほしかった。
そこは、ジュニア新書ですから、もっと知りたかったら他の本を読もうということなのでしょう。

人類の始まりに得た重要なものの4つをよく知ろうとする人のための
スタートラインとして良い本だと思いました。
動物としての人類から、社会的な動物としての人類になっていきますが、
そういった、古代の人類と現代の人類の間を埋める説明になりうるのが
この言語・宗教・農耕・お金の4つでしょう。
そして、そこに、人類の特徴が見えます。

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