Fish On The Boat

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『人類の歴史を変えた8つのできごと Ⅱ』

2012-12-24 22:26:49 | 読書。
読書。
『人類の歴史を変えた8つのできごと Ⅱ』 眞淳平
を読んだ。

『人類の歴史を変えた8つのできごと』の2巻目は、
民主主義・報道機関・産業革命・原子爆弾(戦争)についてです。

ちょうど、読み始めた時期に衆議院総選挙があり、
民主主義のについての歴史と説明を頭に入れるに至っては、
切実に、リアルに、そうすることができたかなと思います。

たとえば、フランスで今の間接民主主義がはじめて出てきたときに、
民衆は共同体に意思を持って参加しないとダメという思想が元になっていたようです、
ルソーの「社会契約論」だそうで。
そういうのに回帰してみるのは?と選挙権を例にして考えたのです。
つまり、選挙権を渇望する人にしか選挙権をあげないよ、という仕組みにしたらどうかという、
暴論ではあるのですが、現状に一石を投じられないものかなぁと思いました。

本書によると、アメリカの大統領選挙の投票率も、50~60%だそうです。
日本とさほど変わらない。ところが、ヨーロッパへいくと、投票を義務化したり、
イタリアのように投票を棄権すると罰則があったりする国があるせいか、
投票率は80%くらいになるそうなんです。

投票率100%までいっちゃうと…、いや、80%でも、かなり政治に対して熱を帯びた情勢を
感じとれると思います。感情なんかもフツフツと煮だっていたりするような。
ケンカとか暴動とか、戦争とかの匂いまでするかもしれない、それが投票率に表れやしないだろうかと
考えもしました。

ただやはり、日本では、「自分が投票したくらいで何も変わらない」だとか、
「だれに投票しても同じ」だとかという感情が働いているようでもあります。

本書にもあります。
「政策を考えだすのが官僚であり、多くの政治家はこれを承認するだけならば、
選挙で政治家を選ぶ意味は薄れてしまいます」
「そのため日本などでは、多くの有権者の間に、「誰が政治家になっても、
どの政党が与党になっても、結局政治は変わらない」という幻滅も生まれてきています。」

しかし、そうではない部分もあると思うのです。
政策の大きな方針を決めることが、そうです。
例えば今回の選挙ですと、原発の推進か脱原発かという選択肢がありましたし、
TPPへの参加・不参加もそうですし、憲法改正案の是非についてもありました。

投票するのには少なからず勉強が必要になります。
面倒くさいで済んでしまうことは済んでしまうんですよね、誰にもとがめられない。
年代別投票率を見ると、20代30代という若い世代が投票に行かない傾向が強かったりします。
僕なんかもそうですが、政治というものがわからないし、どこから食いついていいかさえも
最初はわからなかったりします。
でも、とっかかりはあるのです。
それは日常生活での不満や制度への批判でもいいです、
そういったものがあるということ、格差であれ就職難であれ、そういった不満を解消してほしいという
思いがあれば、投票の糸口にそれはなります。

…と、話は民主主義のところで大きくなってしまいました。

報道機関の章も大変興味深かったですし、
同様に、産業革命と戦争の章も面白かったです。
戦争のところでは、核兵器による危機の時代なんだなと認識することで
心が冷えて弱くなっていくのを感じたくらいです。

普段意識していませんが、世の中はいろいろな意味で、スゴイです。
毎日、ふつうに生活していたら、そのスゴさは感じることが出来ません。
それが、平和な日常によるボケなんだと僕は思います。
そういったスゴさを本書は感じさせてくれることになります。
大きな意味で、人類学と歴史の本です。
こういうコンセプトで社会科の授業があれば、
また大きなビジョンを持つ人が育つんじゃないでしょうか。
ぜひ、高校生や大学生の人にはチャレンジしてもらいたい本でした。
Comments (2)
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