読書。
『きみ去りしのち』 重松清
を読んだ。
まだ1歳の誕生日を迎えたばかりの息子を失くした父親の旅の物語。
出だしがうまいなあ、
と最初は技術的なところに目を向けて読んでいたのですが、
読み終わる頃にはそういうことよりも
物語に入り込んで味わうというふつうの読書になっていました。
物語の中へと引き込む力に負けたのです。
それに、だんだん、登場人物の動きやセリフが
こなれていったのだと思います。
それで、読んでいて自然に感じられる土台が前半部分に作られて、
その貯金分みたいなもので、
後半の大事なところをスパートをかけているような感じでしょうかね。
こういうのは、長編だからこそ効く「溜め」と「解放」なんじゃないか、と、
長編を書いたことのないぼくは考えるのでした。
第五章では熊本が舞台になります。
なに言ってるんだとおもうひともいるでしょうが、
熊本地震とシンクロしてしまった感があります。
はじめて小説を書いたひと月後に東日本大震災が起きました。
今回、4作目を書きあげてひと月後に熊本地震。
小説を書くと1/2の割合で地震が起こっています。
まあ、ナンセンスな話だけれど、
縁起を担ぐひとならやだなあって思いますよね。
物語のほうはというと、
主人公は、最初は北へ北へと進み、それから西へ西へと進んでいきます。
東京を中心に、です。
幼い息子の死をうまく受け入れることができず苦しむ主人公と、
同様に苦しむ、妻の洋子。
そして、前妻との子である明日香と父親の微妙な距離感での再会。
そしてその前妻の向かっていく死というもの。
全9章のうち、それぞれの章に、
それぞれ個別の、人生の問題や壁のようなものが描かれています。
そうしながら、全体として、主人公たちの問題が、
解決へなのか、消滅へなのか、進んでいく。
人生を省察したその知見からの描写や語りにこそ、
重松清が読ませる力が宿っているように思います。
いろいろと取材にもとづく描写や知識が語られていて、
勉強しているなあと感じさせられても、
そこはやはり二番手の感慨なような気がするのです。
物語の構築上、リアリティだとかをだすための
素材なんだよなあという感じ。
重松さんは、オトナであるだけでなく、
子どもの心理にもよく通じていると思いながら読みました。
ぼくの子ども時代に感じたことを掘り起こされるような
気さえしました。
そういうところが、
重松さんの一番のストロングポイントなのかもしれないです。
おもしろかった。
『きみ去りしのち』 重松清
を読んだ。
まだ1歳の誕生日を迎えたばかりの息子を失くした父親の旅の物語。
出だしがうまいなあ、
と最初は技術的なところに目を向けて読んでいたのですが、
読み終わる頃にはそういうことよりも
物語に入り込んで味わうというふつうの読書になっていました。
物語の中へと引き込む力に負けたのです。
それに、だんだん、登場人物の動きやセリフが
こなれていったのだと思います。
それで、読んでいて自然に感じられる土台が前半部分に作られて、
その貯金分みたいなもので、
後半の大事なところをスパートをかけているような感じでしょうかね。
こういうのは、長編だからこそ効く「溜め」と「解放」なんじゃないか、と、
長編を書いたことのないぼくは考えるのでした。
第五章では熊本が舞台になります。
なに言ってるんだとおもうひともいるでしょうが、
熊本地震とシンクロしてしまった感があります。
はじめて小説を書いたひと月後に東日本大震災が起きました。
今回、4作目を書きあげてひと月後に熊本地震。
小説を書くと1/2の割合で地震が起こっています。
まあ、ナンセンスな話だけれど、
縁起を担ぐひとならやだなあって思いますよね。
物語のほうはというと、
主人公は、最初は北へ北へと進み、それから西へ西へと進んでいきます。
東京を中心に、です。
幼い息子の死をうまく受け入れることができず苦しむ主人公と、
同様に苦しむ、妻の洋子。
そして、前妻との子である明日香と父親の微妙な距離感での再会。
そしてその前妻の向かっていく死というもの。
全9章のうち、それぞれの章に、
それぞれ個別の、人生の問題や壁のようなものが描かれています。
そうしながら、全体として、主人公たちの問題が、
解決へなのか、消滅へなのか、進んでいく。
人生を省察したその知見からの描写や語りにこそ、
重松清が読ませる力が宿っているように思います。
いろいろと取材にもとづく描写や知識が語られていて、
勉強しているなあと感じさせられても、
そこはやはり二番手の感慨なような気がするのです。
物語の構築上、リアリティだとかをだすための
素材なんだよなあという感じ。
重松さんは、オトナであるだけでなく、
子どもの心理にもよく通じていると思いながら読みました。
ぼくの子ども時代に感じたことを掘り起こされるような
気さえしました。
そういうところが、
重松さんの一番のストロングポイントなのかもしれないです。
おもしろかった。