読書。
『停電の夜に』 ジュンパ・ラヒリ 小川高義 訳
を読んだ。
インド系女流作家、ジュンパ・ラヒリのデビュー短編集。
O・ヘンリ賞受賞作を収録していたり、
本作でピュリッツァー賞を獲得していたりします。
なんか、すごそうだな、と思って手に取ってみたのですが、
日常を大切に観察してすくいとったような短編ばかりだ
という印象を持ちました。
インドに住んでいたことはないらしいですが、
ルーツがインドの作家ですから、
やっぱり主人公がインド人だったり、
白人からながめるインド人を描いていたりします。
そこらへんは馴れない文化に触れていいる感じがしますけれども、
読んでいくと、同じ人間として通低している部分を描いているなあと
わかってきます。
夫婦間のぎくしゃくとしたところや
底辺の階級のひとと、
ふつうに生活できているひとびととのあいだの関係、溝。
そういった、心理的に避けてしまいがちな、
できれば「無いもの」にしたいような気持ちが働く状況やシーンを、
瞬時に忘れ去ってしまうことなく、
逆に記憶にとどめるように描くのが
この作家の特徴、あるいはこの短篇集の特徴でした。
演出に過剰さが無く、
エンタメ色は薄いです。
ですが、日本の純文学よりも大衆に読みやすくできている。
つぶさに日常を見て、
いい意味で真面目に文章にしています。
作家の、誠実さや、はすに構えず正面から見据えるような視点、
そういったものが感じられ、好感を持つことになると思います。
また、解説を読むと、修士を三つ、博士号をひとつとっているようで、
勉強家のインテリさんの面があるんですよね。
そういう勉強家の真面目さっていうのが、
さきほど書いた、いい意味での真面目さと重なっている部分なのではないかな。
インドという異文化に過敏になってしまうアレルギーのないひとであれば、
ぞんぶんに、この誠実な目で描かれた、
落ちついたタッチの短篇集を楽しむことができるでしょう。
作家の内部の静謐さを感じられるようでもあります。
『停電の夜に』 ジュンパ・ラヒリ 小川高義 訳
を読んだ。
インド系女流作家、ジュンパ・ラヒリのデビュー短編集。
O・ヘンリ賞受賞作を収録していたり、
本作でピュリッツァー賞を獲得していたりします。
なんか、すごそうだな、と思って手に取ってみたのですが、
日常を大切に観察してすくいとったような短編ばかりだ
という印象を持ちました。
インドに住んでいたことはないらしいですが、
ルーツがインドの作家ですから、
やっぱり主人公がインド人だったり、
白人からながめるインド人を描いていたりします。
そこらへんは馴れない文化に触れていいる感じがしますけれども、
読んでいくと、同じ人間として通低している部分を描いているなあと
わかってきます。
夫婦間のぎくしゃくとしたところや
底辺の階級のひとと、
ふつうに生活できているひとびととのあいだの関係、溝。
そういった、心理的に避けてしまいがちな、
できれば「無いもの」にしたいような気持ちが働く状況やシーンを、
瞬時に忘れ去ってしまうことなく、
逆に記憶にとどめるように描くのが
この作家の特徴、あるいはこの短篇集の特徴でした。
演出に過剰さが無く、
エンタメ色は薄いです。
ですが、日本の純文学よりも大衆に読みやすくできている。
つぶさに日常を見て、
いい意味で真面目に文章にしています。
作家の、誠実さや、はすに構えず正面から見据えるような視点、
そういったものが感じられ、好感を持つことになると思います。
また、解説を読むと、修士を三つ、博士号をひとつとっているようで、
勉強家のインテリさんの面があるんですよね。
そういう勉強家の真面目さっていうのが、
さきほど書いた、いい意味での真面目さと重なっている部分なのではないかな。
インドという異文化に過敏になってしまうアレルギーのないひとであれば、
ぞんぶんに、この誠実な目で描かれた、
落ちついたタッチの短篇集を楽しむことができるでしょう。
作家の内部の静謐さを感じられるようでもあります。