読書。
『高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学』 菅原晃
を読んだ。
国家レベルの経済について、
要領よく、その要所がつかめる内容でした。
いったい、政府がやっている財政政策ってどんな意味があるんだ?
と思うことがしばしばな人は僕自身を含めて多いと思うんですが、
その大きな道筋を教えてくれる本です。
といいつつ、
僕は経済学士(IS-LM分析が懐かしかったです)。
とはいえ、まあ不真面目な、なんちゃって経済学士レベルです。
文系に数えられる学問のうち、
経済学が自分にもっとも向いていないのではないかと
大学一年のときにイヤになってもいるのですが、
学び直しとして今回手に取った本書が、
とても良書だったのです。
まず、GDPの説明から始まります。
ご存知のように国内総生産と呼ばれるものです。
このGDPは国内総所得(家計所得・企業所得・政府支出)とイコールであり、
総支出(消費・貯蓄・税金)とイコールにもなる。
これを、三面等価という。
ここを抑えておくと、
数式で表した時に数学的に展開できて、
その展開された式から「それがどういう意味なのか?」を考え、
具体的に導き出すためのフィードバックができることになります。
という序盤の辺りは基礎なのでおもしろくはないのですが、
次章で、国の財政と企業の財政の違いが解説され始めて、
少しずつ気付きが増えていき、おもしろくなると思います。
市場を考えたときに、
ゲーム理論ででてくる「ゼロサムゲーム」の考え方をあてはめる言説があります。
限られたパイをみんなで奪い合うのだ、限られた中でのシェア率を高めるのだ、
というように。
しかし、市場は拡大し、パイは増大したりもします。
市場も、消費分野のクリエイトできて大きくなれます。
で、国際貿易もゼロサムゲームではないと著者は解説します。
そして、続くリカードの比較優位論によって、
貿易に関する得体のしれない不安を取り除いてくれる。
貿易の利益は、
より得意なものに生産を特化することで、
どの国も得られるものだと証明できるんですね、数学的に。
ただ、個人的に比較優位論は、
生産を特化し貿易していくことの大事さについては分かったのだけれど、
ここでは加味されていない「質(おいしいだとか)」についての変数って
けっこう大事なんだけどなあと思いました。
また、特化して貿易することで各国が共存共栄できるのはわかりますが、
それは世界平和が実現した世界においてであり、
現在のコロナ禍のような突発的なよくない事象にさらされると、
特化しているがゆえにモノの欠乏などに直面しないとも限りません。
あくまで経済学的にはこうなるという理論なので現実には応用が必要なんですが、
応用の段階になって道を踏み外してしまったり迷子になったりしがちなのが、
経済の難しいところなのではないでしょうか。
また、消費税増税の仕組みについても解説があります。
貯蓄率が下がっていくと金利が上がる。
金利が上がっていくと不況になる。
で、どうやら金利を上げないためには財政赤字をゼロにするために税収を上げる。
これが消費税増税の目的なんですね。
「福祉に使います」だとか言われて増税されてましたが、
こういう根本のところから説明して欲しいなと思いますよね。
また、増税意外にこの局面をのりきる二つ目の方法は、
物価上昇させる、つまりインフレにするということでした。
インフレになると国の借金などの実質的な価値が小さくなります。
現今の財政では、消費税増税と物価上昇、
どちらもおこなわれている。
最後の方に書かれていて、そうなのか、と考えさせられたのが、
「流動性の罠」という、
要するに、国民の大多数がお金を使わないでただ持っている状態によって、
経済が上昇していかない、ということについてでした。
日本は長らくこの状態に陥っているそうです。
そうですよね、僕も経済学の授業で、
お金は貯めないで使え、と教わりましたもの……。
ただ、経済の難しいところは、
さっき書いたように貯蓄率の低下が不況を招きもするので、
そのあたりのバランスの大事さですね。
バランスをとるために、
政府は財政政策をし、
日銀は金融政策をする。
と、そんなところです。
ひととおり読んでみると、
初心者には、経済の見方が必ず変わるでしょう。
入門書としてこれほどすばらしいものも、
他の分野を思い起こしても、思い当たるものはなかなかないです。
著者は高校教師で、自費出版した前著が、
古書として高額取引されるまで評判だったそうです。
勘所をしっているためなのか、教え方がうまいです。
やっぱり、こういうのを少しでも知っておくと、
ニュースの読み方も変わってくるでしょう。
勉強し直しの経済学として、とてもよかったです。
『高校生からわかるマクロ・ミクロ経済学』 菅原晃
を読んだ。
国家レベルの経済について、
要領よく、その要所がつかめる内容でした。
いったい、政府がやっている財政政策ってどんな意味があるんだ?
と思うことがしばしばな人は僕自身を含めて多いと思うんですが、
その大きな道筋を教えてくれる本です。
といいつつ、
僕は経済学士(IS-LM分析が懐かしかったです)。
とはいえ、まあ不真面目な、なんちゃって経済学士レベルです。
文系に数えられる学問のうち、
経済学が自分にもっとも向いていないのではないかと
大学一年のときにイヤになってもいるのですが、
学び直しとして今回手に取った本書が、
とても良書だったのです。
まず、GDPの説明から始まります。
ご存知のように国内総生産と呼ばれるものです。
このGDPは国内総所得(家計所得・企業所得・政府支出)とイコールであり、
総支出(消費・貯蓄・税金)とイコールにもなる。
これを、三面等価という。
ここを抑えておくと、
数式で表した時に数学的に展開できて、
その展開された式から「それがどういう意味なのか?」を考え、
具体的に導き出すためのフィードバックができることになります。
という序盤の辺りは基礎なのでおもしろくはないのですが、
次章で、国の財政と企業の財政の違いが解説され始めて、
少しずつ気付きが増えていき、おもしろくなると思います。
市場を考えたときに、
ゲーム理論ででてくる「ゼロサムゲーム」の考え方をあてはめる言説があります。
限られたパイをみんなで奪い合うのだ、限られた中でのシェア率を高めるのだ、
というように。
しかし、市場は拡大し、パイは増大したりもします。
市場も、消費分野のクリエイトできて大きくなれます。
で、国際貿易もゼロサムゲームではないと著者は解説します。
そして、続くリカードの比較優位論によって、
貿易に関する得体のしれない不安を取り除いてくれる。
貿易の利益は、
より得意なものに生産を特化することで、
どの国も得られるものだと証明できるんですね、数学的に。
ただ、個人的に比較優位論は、
生産を特化し貿易していくことの大事さについては分かったのだけれど、
ここでは加味されていない「質(おいしいだとか)」についての変数って
けっこう大事なんだけどなあと思いました。
また、特化して貿易することで各国が共存共栄できるのはわかりますが、
それは世界平和が実現した世界においてであり、
現在のコロナ禍のような突発的なよくない事象にさらされると、
特化しているがゆえにモノの欠乏などに直面しないとも限りません。
あくまで経済学的にはこうなるという理論なので現実には応用が必要なんですが、
応用の段階になって道を踏み外してしまったり迷子になったりしがちなのが、
経済の難しいところなのではないでしょうか。
また、消費税増税の仕組みについても解説があります。
貯蓄率が下がっていくと金利が上がる。
金利が上がっていくと不況になる。
で、どうやら金利を上げないためには財政赤字をゼロにするために税収を上げる。
これが消費税増税の目的なんですね。
「福祉に使います」だとか言われて増税されてましたが、
こういう根本のところから説明して欲しいなと思いますよね。
また、増税意外にこの局面をのりきる二つ目の方法は、
物価上昇させる、つまりインフレにするということでした。
インフレになると国の借金などの実質的な価値が小さくなります。
現今の財政では、消費税増税と物価上昇、
どちらもおこなわれている。
最後の方に書かれていて、そうなのか、と考えさせられたのが、
「流動性の罠」という、
要するに、国民の大多数がお金を使わないでただ持っている状態によって、
経済が上昇していかない、ということについてでした。
日本は長らくこの状態に陥っているそうです。
そうですよね、僕も経済学の授業で、
お金は貯めないで使え、と教わりましたもの……。
ただ、経済の難しいところは、
さっき書いたように貯蓄率の低下が不況を招きもするので、
そのあたりのバランスの大事さですね。
バランスをとるために、
政府は財政政策をし、
日銀は金融政策をする。
と、そんなところです。
ひととおり読んでみると、
初心者には、経済の見方が必ず変わるでしょう。
入門書としてこれほどすばらしいものも、
他の分野を思い起こしても、思い当たるものはなかなかないです。
著者は高校教師で、自費出版した前著が、
古書として高額取引されるまで評判だったそうです。
勘所をしっているためなのか、教え方がうまいです。
やっぱり、こういうのを少しでも知っておくと、
ニュースの読み方も変わってくるでしょう。
勉強し直しの経済学として、とてもよかったです。