読書。
『一瞬で判断する力』 若田光一
を読んだ。
ISS(国際宇宙ステーション)でコマンダー(司令官)をつとめたことのある宇宙飛行士・若田光一さんによる、大きな捉え方をしてみるならば、「リーダーシップ能力」についてその要素をこまかくみていく本。
「リーダーシップ能力」といえば、リーダーになった人だけが発揮することを求められる能力かと思いがちです。ですが、誰しも任された仕事のなかではその責任者ですから、状況的なリーダーだといえると本書でも述べられています。つまり「リーダーシップ能力」は、誰もが必要としたほうがいい能力なのです。
「リーダーシップ能力」。僕のイメージでは、自主自律を前提として自分で考え、能動的にコミュニケーションをとり、技術や知識の習得の向上を忘れず、他者にも状況にも柔軟な姿勢で対応する……など、が浮かびます。本書では、「想像する」「学ぶ」「決める」「進む」「立ち向かう」「つながる」「率いる」の7つに大きく分けて、リーダーシップ能力の根幹に位置するであろう一瞬で判断する力をひもといていきます。そのなかで、僕が先に挙げた姿勢についてもおおよそ扱っています。
過酷な訓練や宇宙での活動、そして地上でのデスクワークを含む宇宙飛行士の仕事経験は、他の仕事にくらべて異質というわけではありません。とはいいつつ、具体的に取りあげるなら、まったく他の仕事とのつながりはありません。たとえば深く広いプールに宇宙服を着て潜り、宇宙での船外活動の模擬訓練をするなどはそうでしょう。しかし、それは仕事・職種を個別にフォーカスしてみればたいがいみんなそのようなものです。他の仕事に比べて異質ではないというその意味は、さまざまな個別の各仕事ごとに共通している、その都度使っている能力の内容に違いはないというところにあります。本書には書いてありませんが、たとえば「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)」などはどんな仕事でも大切だとされる一般的なビジネススタンスのひとつですが、この「ほう・れん・そう」のようにいろいろな仕事で共通するスキルやスタンスをいろいろピックアップしているのが本書なのです。そして、『採用基準』という本でも扱われていましたが、昨今は「リーダーシップ能力」の高さを会社での採用基準として見ていたりします。ですから、ビジネススタンスの中身を大きく占めるのは、「リーダーシップ能力」であると言ってもいいと思います。まあ、個人的には、ビジネスにかぎらず、こういう姿勢はプライベートでもうまく発揮したいものだと考えるところなんですが。
本書では、そういった「リーダーシップ能力」の各要素をみていくにあたり、すべてが宇宙飛行士の具体的な経験から引かれていて、宇宙飛行士ってどういう仕事なのかに好奇心のある人にとってもおもしろい読みものになっています。宇宙飛行士に好奇心を持つ人にとっては、逆にその個別性につよく目がいきます。つまりは、個別性と一般性をいったりきたりしながら楽しめる読書をすることができる寸法なのでした。
読んでいると、「優先順位をつける」や「後悔しないために自分で決める」など、多くの人が知っていたりわきまえていたりする内容もちらほらあります。また個人的に背中を押される思いをするような項もあって、「失敗から学ぶ」「自分のことほどわからない」「トラブルは小さい芽のうちに叩いておく」「守破離」「ペース配分」「恐怖は探究心にもつながる」などがそうでした。こういった「自分もそう思ってたのだけども!」という部分はけっこうあったのだけれど、若田さんはそれをきっぱり言えるところが僕とは違う。きっと場数を踏んでいるからなのです。
というところですが、ひとが能力を最大限発揮するためには、いろいろな能力の性格がどういうものかを意識することが始まりになるでしょう。そのうえで、自分の長所や短所がわかってきます。そうすると、いつのまにか自分を俯瞰的・客観的に見ることができるようになっていたりすると思います。まず、そういう一歩を踏み出すとして、その伴走者のようにもなってくれるのが本書でありました。けっこう幅広く参照が効くタイプのビジネス書だと思います。
『一瞬で判断する力』 若田光一
を読んだ。
ISS(国際宇宙ステーション)でコマンダー(司令官)をつとめたことのある宇宙飛行士・若田光一さんによる、大きな捉え方をしてみるならば、「リーダーシップ能力」についてその要素をこまかくみていく本。
「リーダーシップ能力」といえば、リーダーになった人だけが発揮することを求められる能力かと思いがちです。ですが、誰しも任された仕事のなかではその責任者ですから、状況的なリーダーだといえると本書でも述べられています。つまり「リーダーシップ能力」は、誰もが必要としたほうがいい能力なのです。
「リーダーシップ能力」。僕のイメージでは、自主自律を前提として自分で考え、能動的にコミュニケーションをとり、技術や知識の習得の向上を忘れず、他者にも状況にも柔軟な姿勢で対応する……など、が浮かびます。本書では、「想像する」「学ぶ」「決める」「進む」「立ち向かう」「つながる」「率いる」の7つに大きく分けて、リーダーシップ能力の根幹に位置するであろう一瞬で判断する力をひもといていきます。そのなかで、僕が先に挙げた姿勢についてもおおよそ扱っています。
過酷な訓練や宇宙での活動、そして地上でのデスクワークを含む宇宙飛行士の仕事経験は、他の仕事にくらべて異質というわけではありません。とはいいつつ、具体的に取りあげるなら、まったく他の仕事とのつながりはありません。たとえば深く広いプールに宇宙服を着て潜り、宇宙での船外活動の模擬訓練をするなどはそうでしょう。しかし、それは仕事・職種を個別にフォーカスしてみればたいがいみんなそのようなものです。他の仕事に比べて異質ではないというその意味は、さまざまな個別の各仕事ごとに共通している、その都度使っている能力の内容に違いはないというところにあります。本書には書いてありませんが、たとえば「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)」などはどんな仕事でも大切だとされる一般的なビジネススタンスのひとつですが、この「ほう・れん・そう」のようにいろいろな仕事で共通するスキルやスタンスをいろいろピックアップしているのが本書なのです。そして、『採用基準』という本でも扱われていましたが、昨今は「リーダーシップ能力」の高さを会社での採用基準として見ていたりします。ですから、ビジネススタンスの中身を大きく占めるのは、「リーダーシップ能力」であると言ってもいいと思います。まあ、個人的には、ビジネスにかぎらず、こういう姿勢はプライベートでもうまく発揮したいものだと考えるところなんですが。
本書では、そういった「リーダーシップ能力」の各要素をみていくにあたり、すべてが宇宙飛行士の具体的な経験から引かれていて、宇宙飛行士ってどういう仕事なのかに好奇心のある人にとってもおもしろい読みものになっています。宇宙飛行士に好奇心を持つ人にとっては、逆にその個別性につよく目がいきます。つまりは、個別性と一般性をいったりきたりしながら楽しめる読書をすることができる寸法なのでした。
読んでいると、「優先順位をつける」や「後悔しないために自分で決める」など、多くの人が知っていたりわきまえていたりする内容もちらほらあります。また個人的に背中を押される思いをするような項もあって、「失敗から学ぶ」「自分のことほどわからない」「トラブルは小さい芽のうちに叩いておく」「守破離」「ペース配分」「恐怖は探究心にもつながる」などがそうでした。こういった「自分もそう思ってたのだけども!」という部分はけっこうあったのだけれど、若田さんはそれをきっぱり言えるところが僕とは違う。きっと場数を踏んでいるからなのです。
というところですが、ひとが能力を最大限発揮するためには、いろいろな能力の性格がどういうものかを意識することが始まりになるでしょう。そのうえで、自分の長所や短所がわかってきます。そうすると、いつのまにか自分を俯瞰的・客観的に見ることができるようになっていたりすると思います。まず、そういう一歩を踏み出すとして、その伴走者のようにもなってくれるのが本書でありました。けっこう幅広く参照が効くタイプのビジネス書だと思います。