8月5日 経済フロントライン
昭和43年に誕生した「カール」は
独特のキャラクター“カールおじさん”とともに愛されてきた。
明治の菓子部門の責任者 井田覚さん。
軽い食感をイメージした「カール」という名前。
形もカールさせようとしたが当初は難しかったという。
(明治 菓子商品開発部長 井田覚さん)
「カールというコンセプトなのに曲がらない。
それをどうやって曲げるのかということでまた現場でわいわいやった。
曲げる方法が出来たときに初めてカールが出来た。
大変苦労したという話は聞いたことがある。」
苦労の末に生み出された「カール」。
発売当初からヒット商品となった。
ピーク時には190億円を売り上げ
工場はフル稼働した。
これだけの人気を集めた「カール」がなぜ売れなくなったのか。
2000年代に入りポテトチップスなどのライバルが増えるなかで売り上げが落ちる。
また粉が手や歯につくのが嫌だと若い人から敬遠され始める。
さらにもうひとつ大きな理由があった。
売れる商品を優先して販売するコンビニ。
一度売り上げが落ちるとなかなか置いてもらえないようになったのである。
(客)
「コンビニとかで買うことが多かったので
そこで見かけなくなると買わない。」
原料をトウモロコシから米に変えた商品を販売するなど種類を増やしたが
売り上げは回復しなかった。
昨年度の売り上げはピーク時の3分の1に落ち込み
生産が縮小されることになった。
菓子部門の責任者の井田さんは
「カール」の味には自信があったが時代の流れについて行けなかったと考えている。
(明治 菓子商品開発部長 井田覚さん)
「今までだったら“おいしいね”でよかったものが
おやつというものが質的に変わってきたリ
親が子どもに健康的なものを与えるようになるとか
どんどん変化してきている。
時代とともに価値が低下していってしまった。」
「カール」のように味に自信があっても思うように売れない時代。
メーカーは新たな取り組みを始めた。
カカオ豆の産地にこだわり香りの豊かさを売りにしたチョコレート。
定番商品の2倍の価格だが
1年足らずで3,000万枚を売り上げる大ヒット商品となっている。
(客)
「何度か買っている。」
実はこのチョコレート
3年前に発売した当初は期待したほど売り上げが伸びなかった。
味には自信があったがなかなか手に取ってもらえなかったのである。
そこでこのメーカーではターゲットとなる若い女性にどうしたら関心を持ってもらえるか考えた。
ヒアリングを重ね
去年の9月に商品のデザインを一新する。
カカオのイメージを中央に置いただけのシンプルな構図。
スマートフォンで写真を撮りたくなるようなおしゃれさを出した。
チョコレートの味も大事にしたいと形状に工夫を加えた。
1枚の中に様々な形や模様をつくり
異なる香りや食感を味わえるようにしたという。
味以外の要素でひきつけて
最終的には味で勝負!
この作戦がヒットにつながったのである。
(明治 菓子商品開発部長 井田覚さん)
「新しい価値を提供しようとすると
まず理解してもらうことが難しい。
どういう風にして共感を得ていくかということはすごく難しい。
それを粘り強くやれるかどうかがポイントかなと思う。」