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東京のためにか、 知事のためにか 忠誠心の行方

2017-09-17 06:15:00 | 編集手帳

9月7日 編集手帳

 

 若い大名には何事も人に劣った記憶がない。
幼年時代からそうだった。
破魔弓、
蹴鞠(けまり)…。
習字の筆をとれば右筆の老人が膝頭をたたいて称賛した。
菊池寛の小説『忠直卿行状記』である。

〈家老たちは、
 今までにその幼主の意志を、
 絶対のものにする癖が付いていた〉。
一緒にしては反発が出ようか。
都民ファーストの会にとって、
都議選後初の本格的な論戦の舞台となった都議会臨時会が閉会した。

知事への礼賛一色だった。
そんな感想を聞く。
「政治家としての柔軟性を発揮した」「真に安心安全を守ることにつながった」。
市場移転問題を巡る知事の対応を、
この会派の議員は口々に称(たた)えた。

お追従と言っては失礼かもしれない。
知事は民意の信任を得た東京の舵(かじ)取り役である。
議員も都民に選ばれて今の立場にある。
若君と臣下の関係と本来同じであるはずもない。

「会社に対する忠誠心と社長に対する忠誠心とは違って然(しか)るべき」とは、
作家の城山三郎さんの言葉である(『静かに 健やかに 遠くまで』)。
東京のためにか、
知事のためにか。
20日には定例会が始まる。
忠誠心の行方が改めて問われよう。


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