9月2日 経済フロントライン
通常の青果店の数倍の1か月に約450万円を売り上げる店がある。
こだわるのは野菜の味。
産地がいくつもある中で今が一番食べごろだというものを並べ
店員はていねいに説明してくれる。
(客)
「週に2~3回は来ますね。」
「おいしい野菜を食べたいと思うときはこちらを利用します。」
野菜はすべて店員が味見し
場合によっては店に置かないことがある。
こうした青果店を10店舗運営しているベンチャー企業。
店先でチェックした野菜の味の評価はここに集められ生産者に送られる。
以前入荷したものとは味が少し変わっていたスイカ。
収穫のタイミングや運送の仕方などに問題はなかったのか生産者と話し合う。
(アグリゲート バイヤー 松根拓乃さん)
「収穫の前後で雨が降ったりすると急激に味が落ちるとか
傷みやすくなるとかよくあること。
どこを改善すればより良くなるかという話を日々やっている。」
代表取締役の左近克憲さんは福岡の出身である。
東京と福岡の野菜に大きな違いを感じた左近さんは
味の違いにこだわる青果店を始めればニーズがあるはずだと考えた。
そのねらいは的中。
売れなかった野菜も弁当の具材にして利用し売り上げを伸ばしている。
(アグリゲート 代表取締役 左近克憲さん)
「おいしい野菜や果物を食べたいニーズは都市ではものすごく高まっていると思う。
本当に野菜の味がしっかりしておいしいものを届け続けられるか
それを解決していけば商機だと思う。」
売り上げが前年同期比で4割増えたという精肉店もある。
カフェ風のスタイリッシュな内装だが和牛専門の店である。
店員はまず客の好みや作る料理を聞き出し
どの肉がいいか
40種類ほどの部位の中から提案する。
もともと外資系の証券マンだったオーナーの上野望さん。
ワインや野菜のソムリエのように
繊細な味を伝える人がいれば新たなニーズをつかめるはずだと考えた。
(TOKYO COWBOY オーナー 上野望さん)
「スーパーで陳列されている肉を見て
一般の人は目利きは出来ない。
和牛をきちんとした形で消費者にわかる仕組みで販売できれば
まだまだビジネスチャンスはある。」
肉の新しい販売方法を考え出した。
常連のお客さんがこの日利用したのは
“ミートキープ”と呼ばれるサービス。
客がブロック肉をまとめて購入。
食べる分だけをカットし
残りは店が温度や湿度を正確に管理できる冷蔵庫で保管してくれる。
真空パックで保管すれば約1か月キープが可能である。
時間の経過とともに食感や香りなど肉の微妙な変化を楽しめるという。
(常連客)
「味がわかってるじゃないですか。
1度食べた肉だから。
自分の都合で自分の肉を食べられるというのが
自分の家の冷蔵庫みたいにここを遣えるからいい。」
野菜の味に徹底的にこだわる青果店。
客の好みにとことん合わせる精肉店。
外からの視点が新たな消費者のニーズをつかみ始めている。