9月2日 経済フロントライン
香川県を中心に20店舗を展開するスーパー。
打ちっぱなしのコンクリートの売り場に色とりどりの魚が並ぶ。
発泡スチロールのケースはそのままにまるで魚市場のようである。
プロの料理人も続々と買い付けにやって来る。
魚目当てに集まった客が野菜や肉など他の商品も買っていく。
売り上げはここ10年で3倍以上に増えた。
社長の木村宏雄さん。
成功の秘訣は売り場の担当者に大きな権限を与えていることだと言う。
(新鮮市場きむら 社長 木村宏雄さん)
「もう好きなように買って
好きなように売価をつけてくれ。
それが良かったのかな。」
4月からこの売り場をまかされている鮮魚部門チームの安富圭一さん(32)。
朝3時に安富さんは自ら魚市場に仕入れに行く。
そこには同じスーパーのトラックがズラリ。
各店舗から担当者が仕入れに集まってくるのである。
通常スーパーの魚は
競りに参加した仲卸から仕入れの責任者が一括して購入し
お店に振り分けるのが一般的だという。
一方安富さんのスーパーでは各店舗の担当者がそれぞれ競りに参加。
仕入れを行う。
この朝安富さんが買い付けた魚は約50種類。
なかでも目玉商品にしたいと考えたのがさんま。
売値を決めるのも安富さん。
店によって値段や品揃えも変わってくる。
「きょうはさんま6ケースぐらいいきますね。
1匹売値で198円で売ろうかなと。
売上高の1日の目標は80万から100万円ぐらい。」
各店舗の魚の売上高は担当者の間で共有され
評価にもつながる。
競い合うことでモチベーションが上がり
魚を目利きする力も鍛えられると言う。
(鮮魚部門チーフ 安富圭一さん)
「どこよりも新鮮なものを先に手に入れて売るというところだけは絶対に負けない。」
(新鮮市場きむら 社長 木村宏雄さん)
「このやり方はたぶん大手さんはまねが出来ない。
鮮魚に関してはどこのスーパーとあたっても負けない。」
安売りはしない方針で売り上げを伸ばしているスーパーもある。
栃木県内で展開するスーパー。
無農薬で育てた野菜が安心・安全を売りにしている。
たとえばナス。
無農薬で肥料も使わずに栽培した。
1袋200円と少し割高だがすぐ売り切れる人気商品である。
(客)
「ここに来ると良いものがあって安心。
安心素材なのかな。」
「やっぱりものが安心して買えるから来る。」
実はこの店は以前は品数を増やし安さを売りにする戦略を取ってきた。
しかし近くの強豪相手に客を取られ赤字が続く。
(三舛屋 会長 沓掛健一さん)
「本当に厳しいときには前年比1割2割というレベルで落ちた。」
改善のきっかけとなってのはある経営者との出会いだった。
自らもスーパーを経営し客の心をつかむノウハウを教えている
福島屋会長の福島徹さん。
“安さではなく客にとっての価値は何かをしっかり考えて欲しい”と伝えてきた。
(福島屋会長 福島徹さん)
「その商品がお客にとってどういう風に役立つんだろうか。
自分たちでちゃんと考えよう。
そんな企業風土を少しずつつけていこう。」
この店では福島産の教えをもとに
安全・安心を大切にしたい店づくりを目指すことにした。
品揃えを変えるとともに
地域の農家との提携。
田んぼ1枚分の米をすべて買い取る契約をし
農薬や肥料を使わずに栽培してもらっている。
(三舛屋 開帳 沓掛健一さん)
「これ美味しいんですよとお伝えして
売り場でおすすめできるようになった。
本当に自信をもってというのが一番変わったところ。」