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アメリカ 予算削減で揺れる教育現場 

2018-07-02 07:00:00 | 報道/ニュース

6月5日 国際報道2018


アメリカで教育環境の改善を訴えるデモが相次いでいる。
閉経にあるのが教育予算の削減。
必要な教材が買えず20年近く使い回すなど
教育環境の悪化が指摘されている。
コスト削減のため授業日を減らす措置に出た学校も。
教師は生活費をやりくりするために土日も副業に。

アメリカでは2008年のリーマンショック後
多くの州で税制不足を理由に教育予算が削減された。
その後景気の回復が進んでも州によっては経済の低迷から抜け出せず
教育予算が減らされ続けている。
2008年と2015年の生徒1人あたりの教育予算の増減を見ると
ノースダコタ州のように96,2%予算が増えた州がある一方で
アリゾナ州は-36,6%である。
その差が鮮明に表れている。
教育予算の拡充が発生した州でも予算の減額が続いていた。
ウェストバージニア、ケンタッキー、オクラホマ、コロラド、アリゾナ、ノースカロライナ州は
基幹産業が乏しく
税収が少ないため
財政がひっ迫。
このままでは教育現場が持たないという危機感が高まっている。

5月16日
ノースカロライナの州議会へ続く道を埋め尽くしたデモ。
州全体の教師の6分の1にあたる1万5,000人が教育予算の増額を求めて行進した。
(参加した教師)
「学校にはエアコンも暖房もなく紙も用具もありません。」
「学校の図書館には1,500冊の本がありますが
 ほとんどがガレージセールで集めたものです。」
いま教育現場はどうなっているのか。
州西部にある公立小学校。
子どもの使う教科書は学校から貸し出されるが
新しいものを買う予算がなく古い教科書を使いまわしている。
(広報担当)
「この教科書は2005年に購入したもので
 2000年のものもあります。
 生徒の人数分の教科書が購入できない学校もあります。」
教師が教材の費用などをまかなっているケースも少なくない。
美術教師チェルシーさん(28)もその1人である。
絵筆や画用紙は自ら購入しなければならない。
(チェルシーさん)
「この1年で少なくとも400ドル(約4万4,000円)の自己負担です。
 絵筆はすぐだめになるし
 紙も少なくなりますから。」
ノースカロライナ州ではリーマンショック後の教育予算の削減が続いていた。
教師になって5年のチェルシーさんの月給は2,600ドル(;約29万円)。
教師は無料だった医療保険料が去年から有料になったり
自家用車のローンや大学時代の奨学金の返済で
給料の半分が消えてしまうと言う。
さらに夏休みの3か月間は給料は支給されない。
(チェルシーさん)
「私は新米教師でベテラン教師ほど給料はもらえませんし
 さまざまな支払いもあるので副業せざるを得ません。」
生活費の足しにしようと平日は学校での勤務の後に絵画教室で講師のアルバイト。
土日はスポーツ量販店で店員として1日8時間。
家計をやりくりしている。
今後も教師を続けていけるのか
チェルシーさんは不安を感じている。
(チェルシーさん)
「このままでは教師に就く人がいなくなります。
 州政府は本当に考えるべきです。」
削減は教師以外の職員にも及んでいる。
広報担当者は
このままでは教育の質まで低下すると懸念を強めている。
(広報担当)
「この10年でノースカロライナ州は数千人の補助要員を削減しました。
 副校長やカウンセラー、
 ソーシャルワーカー、図書室の司書、教科書、IT機器
 すべて削られてきました。
 このままコスト削減が続けば
 生徒や教師
 授業に影響が出かねません。」
南部オクラホマ州。
減税を優先する共和党の強固な地盤で
教育予算は10年前と比べて1,5%減と抑えられてきた。
生徒が増え続けているため
生徒1人あたりの予算は3割近くも減っている。
このためオクラホマ州は全体の2割近くの学区で
公立学校の授業を週5日から4日に減らす措置をとった。
(オクラホマ州リッジクリーク学区 教育長)
「週4日制を始めたことで子どもの食事やスクールバスの費用も節約になります。
 電気や紙代などの経費は毎年上がる一方で
 赤字を埋めるためには仕方ないのです。」
オクラホマ州は全米で毎年実施される数学のテストで去年38位。
この1年全米平均を下回り続けている。
このままでは州による教育格差が固定化するのではないか。
保護者は不安を強めている。
(保護者 リンジーさん)
「子どもが本来受けるべき教育が受けられないのではないかと心配しています。
 子どもと教育の未来が奪われているのです。」



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