7月12日 編集手帳
ひとり坂をのぼって、
海の見えるレストランに来た。
席に着く。
遠くに岬が見える。
そして<ソーダ水の中を貨物船がとおる>
武田鉄矢さんは若いころ、
この一節に衝撃を受けた。
テレビで語っている。
「こんなきれいな詞があるのかと思った。
ソーダ水の中を、
貨物船ですよ。
自分の作詞を投げだしたくなった」。
荒井(現・松任谷)由実さんの『海を見ていた午後』である。
浮かんでは消えていく泡…そこには控えめながらストローの姿も浮かぶ。
今日的事情では清涼飲料に寄り添うこの名脇役の存在が、
どうも危うい。
スターバックスがプラスチックのストローを2年後をめどに全世界の店舗で廃止すると発表した。
レジ袋などとともに海洋汚染を招くと指摘され、
東南アジアにはプラごみの浮遊でビーチが台無しになった観光地もある。
禁止を求める声に紙製をはじめ材質の切り替えで呼応するという。
日常生活ではコップに傾くそれが少しちがった姿で見えてくるかもしれない。
無駄遣いをしないことも、
家庭でできる環境への配慮だろう。
ソーダ水の向こうには、
いつまでもきれいな海が見えてほしい。