6月11日 キャッチ!ワールドEYES
3年前に発覚したディーゼル車の排ガスをめぐる不正。
これにより“クリーンな車”としての地位が失墜。
ヨーロッパ各国でディーゼル車を厳しく規制する動きが相次いでいる。
去年 イギリスとフランス政府は
大気汚染対策として
2040年までに販売を禁止する方針を打ち出した。
日本のメーカーも
ヨーロッパで乗用車タイプのディーゼル車の販売を終了する方針を打ち出している。
今年2月 ドイツでは連邦行政裁判所が
大気汚染対策として
市街地への乗り入れ禁止を容認。
5月 ハンブルクの一部地域で
厳しい排ガス規制をクリアした一部の車両を除きディーゼル車の通行が禁止になった。
こうした厳しい状況にディーゼル車の販売は低迷。
下取り価格も以前より40%ほど下がっている。
車で埋め尽くされたドイツのスクラップ工場。
これがディーゼル車の末路である。
車両運搬者は毎日稼働している。
この日も自動車代理店から3台の廃車依頼を受けた。
(車両運搬者 運転手)
「毎日車を回収していますが多すぎて間に合いません。」
ハンブルクのスクラップ工場には1日20台運ばれてくる。
ほとんどがディーゼル車で状態が良いものばかりである。
(スクラップ工場 社員)
「エンジンが壊れたり傷だらけなら理解できるが
この車は違います。
なんと言っていいやら・・・。」
2006年式の車を持ち込んだ男性。
(ディーゼル車 所有者)
「あと4年は乗れますよ。
1度も故障していませんが
決断する時です。
このご時世で中古車として売れませんから。」
不正問題や通行規制で人気はがた落ち。
所有者は騙されたと感じている。
(ディーゼル車 所有者)
「私が買った車は
国がナンバーを発行した車です。
燃料も必要な税金も全て私が支払いました。
今になって国や裁判所がディーゼル車の通行を禁止するなんて
考えられません。」
ディーゼル車の悲鳴が聞こえる。
新車も中古車も売れず
代理店も不安が募る。
(自動車販売店 店員)
「3年落ち車を廃車になんてできません。
問題はお客に“ここの車がこの先走ることができる”と約束できないことです。」
自動車業界は古いディーゼル車への対処を求めているが
メーカーは排ガスシステムを変えるには膨大な経費がかかると拒否している。
(消費者協会)
「不正をしたのはフォルクスワーゲンを筆頭にドイツのメーカーです。
当然フォルクスワーゲンも支払うべきです。
多額の利益をあげているので可能でしょう。」
その代わりにメーカーはは配車助成金を出した。
これによりフォルクスワーゲンは前年より10万台多く売れた。
ハンブルクのスクラップ工場も順調で
ディーゼル車置き場を拡張する計画である。