6月26日 キャッチ!ワールドEYES
投機の対象として注目を集めている仮想通貨ビットコインの引き起こす消費電力の増大。
現在世界には約1,600種類の仮想通貨が存在し
全体の時価総額は6月26日現在で約28兆円と言われている。
その中で2009年に誕生したビットコインは最も多く取引され
時価総額は全体の4割にあたる約12兆円。
1BTC=68万円と高い水準で取引されている
仮想塚をつかさどるブロックチェーンの仕組みは
円などの法定通貨の取引の場合
金融機関が持つ巨大なサーバーによって履歴を一括管理している。
一方でビットコインなどの仮想通貨は取引の履歴を管理する機関が存在していない。
代わりにネットワークでつながる世界中のサーバーが
取り引きの履歴を互いに照合して信頼性を保っている。
これがブロックチェーンという仕組みである。
新しい取引記録を結び付けるためにはコンピューターによる計算が必要になるが
それを成立させた場合
報酬として通貨を受け取ることができる。
これを金などの採掘になぞらえて
マイニングと呼んでいる。
カナダ国境近くの町ブラッツバーグはとてもゴールドラッシュの現場には見えない。
しかし小売店の裏にある建物の中には膨大な数のコンピューターが設置されて
仮想通貨のマイニングのためだけに大量の電力が消費されている。
これは町の電気料金が極めて安いために起きているが
地元の人たちは怒っている。
(住民)
「マイニング業者はいいとこ取りをしている。」
ブラッツバーグではこの100年の間水力発電で大量の電気が発電されてきた。
ナイアガラの滝の生み出す電気のおかげで
現在の電気料金はアメリカ平均の約3分の1である。
しかし落とし穴もある。
利用量が一定を超えると通常より高い料金を支払うことになる。
(ブラッツバーグ コリン・リード市長)
「消費電力が割り当てを超えると突然値上がりする。
めったにないことだったが
マイニング業者が来てからは定期的に起こる。
3~4割料金が上がる。」
これまで住民が真冬に支払ってきた電気料金は月100ドル(約1万1,000円)
この大半は暖房によるものだが
もともと電気料金はとても安かった。」
地元企業も安い電気に助けられてきた。
(製造会社社長)
「電気業金が一晩で変わった。
2~3割上がった。」
500人の従業員で毎日1,100万個のプラスチック製品を作る会社の社長。
「製造しているのはキャップや容器。
最近では子どもが開けるのを防止する容器のふたも作っている。」
利益は多くないが
3月は電気代が2万2,000ドルで利益はさらに減った。
消費電力が割り当てを超えたのである。
マイニング業者が原因だと言う。
(製造会社社長)
「われわれの2倍の電気を使うから影響は大きい。」
19歳のブリエンザさんは会社運営のため大学進学を先延ばしにしている。
彼の仕事は顧客のコンピューター200台の管理である。
(マイニング業者 ブリエンザさん)
「ここよりもニューヨークやカリフォルニアは電力コストは
都市部の電気はここの管理費用よりも高い。」
ブリエンザさんは安い電気を大量に使っているが
プエルトリコに拠点がある別のマイニング業者は近くでさらに多くの電力を消費している。
建物に看板はないがドアが開け放たれ巨大な扇風機で熱を廃棄。
数千台のコンピューターも街全体の電気の10%を消費している。
しかしマイニング業者がワシントン州やこの町など電気料金の安い町にひかれるのは無理もない。
(マイニング業者 ブリエンザさん)
「電気代が安ければ利益が出ます。
コンピューター1台あたり月150ドル(約1万6,000円)ほど。
うちの学校の先生が電気料金が上がっていると苦情を言っている。」
それだけではない。
(住民)
「住民が負担する必要はない。」
3月に市議会は住民を集めて苦情を聞き
新たなマイニング業者の参入を1年半禁止した。
しかし彼らはあきらめていない。
(マイニング業者 ブリエンザさん)
「ビジネスを続けている他の探している。
電気が安い場所はいろいろある。」
世界全体でビットコインの消費電力は年間71兆ワット。
1年前の6月当時の14兆ワットと比べ急増している。
これは電力消費量で見ると
世界で40位のチリの年間消費量に相当する。
日本は中国・アメリカ・インドに継ぐ世界4位の電力消費大国だが
ビットコインでの消費電力量は年間で7,6%に相当する大きなものである。
2016年では主に電気の安い中国でマイニングが行われていたが
2017年1月に政府当局が
ビットコインに関するあらゆる投機に対して徐々に締め付けをおこなったために
現時点ではマイニング業者は中国から撤退していると言われている。
北米や北欧にその工場を移設・増設している。
電力を供給するスピードが追い付いていない。
それが世界的な問題になってくる。