6月29日 キャッチ!
スウェーデンは
暮らしの中で現金を使わず
カードやネットなどで支払いをするキャッシュレス社会の先進国として知られている。
首都ストックホルムの街中にあるカフェはいまどき珍しいと話題になっている。
それは支払いを現金でしか受け付けないこと。
カード決済の手数料がかからないぶん値段を安くしていることが売りである。
客はこの店に来るためだけに現金を用意する。
(オーナー)
「開店以来 他店より値段を安くしています。」
現金払いの店が話題になるほどスウェーデンのキャッシュレス化は進んでいる。
地元の人たちでにぎわうどの店を訪ねても支払いはすべてカード。
店には読み取り機しか用意されていない。
市民の多くは現金を持ち歩かない。
持っているのは小さなカード入れだけである。
(客)
「現金を持つ機会が無いからカード入れで十分です。」
キャッシュレス化が進むのはカフェやレストランだけではない。
マーケットで女性が支払いに使ったのはスマホでお金を送るサービス。
公衆トイレもキャッシュレスである。
生活のあらゆる場所から現金の姿が消えつつある。
キャッシュレス化が進むのは
支払いの手続きを簡単にすることで消費の活性化につながり
お店にとっては人手がかからなくなるからである。
また政府にとってはお金の流れが透明になるため
税金逃れを防ぐことができる。
一方でキャッシュレス化が広がり暮らしにくくなったと感じる人たちがいる。
多くは高齢者である。
そのひとり 73歳のマイリースさん。
スウェーデンでは年老いても子や孫と離れて暮らす人が多く
新しい技術について行くことができない場合がある。
マイリースさんも全てキャッシュレスになることが受け入れられず
生活に使うお金は現金を週に1度ほど引き出して現金で持ち歩いている。
(マイリースさん)
「財布の中の100クローナ札が数枚なら
また500クローナを下ろします。」
食品や日用品を買うときは現金で支払う。
理由の1つが詐欺や不正送金など犯罪の被害にあうのではないかという心配である。
新聞に注意を呼びかける記事が載るのは珍しくない。
(マイリースさん)
「ここを見て。
オンライン銀行の口座がハッキングされたというニュース。
犯人は高齢者を狙っています。」
インターネット上電話番号の資金管理や送金の手続きが難しいことにも負担を感じている。
(マイリースさん)
「オンラインの手続きを間違えてしまうんじゃないかと不安なんです。
何かあった場合 聞ける人が近くにいません。
“カード払いのみ”を見ると
社会から締め出された気持ちになります。
現金で生きてきた世代にも配慮があるべきです。」
キャッシュレス社会を生きる方法を身につけようという動きもある。
それぞれの地域にある高齢者向けの教室。
ストックホルム郊外では近くに住む人たちが集まって
タブレット端末を使って電子送金の手続きを練習していた。
(受講者)
「結構難しいけどなんとか使えます。」
「キャッシュレス社会にもついて行きたいです。」
(講師)
「ついていけない人はたくさんいると思います。
新しい技術は難しいですから。
高齢者の場合はゆっくり学ぶことが大切だと思います。」
取り残される人をどう減らすかというキャッシュレス先進国の課題。
乗り越えるには
積極的に学ぶ人を増やせるかがカギになりそうである。