最近、生活体験が少ない子が増えたというのが、わたしの印象です。
自然と直に触れ合った経験が乏しい子。
「えっ、なんでこうなるの」と疑問をもったり、「おもしろいなあ」と感じる体験が、子どもの育ちには必要です。
VRの世界、映像の世界、ゲームの世界を否定はしません。
すばらしい体験ができるのは、よくわかります。
でも、それに加えて、友だちとの関わり合いの体験をもつ必要があるのです。
子どもはとくに小学生時代に同世代の友だちとたくさんのかかわりをもつべきです。
前思春期の子どもは、友だちから学び、友だちに何かを教えることが、発達上の目標です。
それが大人になったとき、人と交流し、社会で自分の価値を発揮する基礎となります。
友だちとたくさん遊べば遊ぶほど、自分の人生を切り開く人になれます。
つまり、人とうまくかかわることができるのです。
「わたしの家の子は、サッカーチームに入れているから大丈夫です。」
こうおっしゃる親御さんがいます。
そうでしょうか。
その活動は、友だちとの遊びのかわりにはなりにくいのです。
もちろんチームによっては、選手が自分の力を発揮できるような指導を行うコーチがいます。
しかし、低学年の子はまだ、ひとつずつ「こうしなさい」と指導する年齢です。
コーチや監督が子どもに一つずつ指示して、勝つことが目標になると、子ども同士の自由な関わり合いや学び合いはなくなります。
ただたんに遊ぶことが大切なのであり、大人からの指示の通り、行動したり活動したりするだけでは、人間関係を豊かに営むことにはならないのです。