箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

学校の存在意義と教職員のしあわせを語る

2021年09月22日 07時16分00秒 | 教育・子育てあれこれ
おおまかにいって、1995年ぐらいから2005年ぐらいまでに生まれた人は、いま高校生から大学生または若い社会人になっています。

この世代は、生まれて物心がついた頃には、スマホが身近にある生活を送ってきた人たちです。

きめつけはよくないのはもちろんですが、この世代にある程度共通に見られる傾向があると、研究者は指摘します。

この世代はまず、SNSに慣れ、使いこなす人が多いといえるでしょう。SNSを駆使して、同じ志向をもつ人とつながります。

そして「社会に貢献したい」、「人の役に立ちたい」という思いが強いのです。

つぎに、時間や場所にしばられず働くことを望み、できればテレワークを好みます。

これは、夫婦で子育てをいっしょに担いながら仕事を考えるからです。

さらに、仕事と趣味の両方を重視し、副業ができれることを望みます。

そして、仕事は効率をいちばん重視します。ただし効率重視ですが、コストパフォーマンスよりもタイムパーフォーマンスを重視します。

そのため、「○○は面倒です」とよく言うようです。

また、生まれてからずっと自然災害続きで、東日本大震災や多発する自然災害を身近に感じて大きくなりました。

その意味で、身の回りにリスクや不備があるのは当然と考えます。

iPhoneのように、とりあえずは新作を開発して世の中に発表する。その後、出てきた不具合にその都度対応し、改善を重ね、優れた完成度の高い商品に高めていく。

このやり方を支持し、自らもリスクを当然と考える傾向があると言われます。

また、環境にやさしく持続可能な生活を求めます。




さて、もちろん個人個人による違いはあるでしょうが、全体的にこのような傾向がある人たちが教職に就くとどうでしょうか。私がいま教員志望の学生と接して思うことがあります。

これは、働き方改革を進める学校では、時間外労働の縮減を図りますので、タイムパフォーマンス重視の若い教職員は、学校に新しい風を入れるきっかけになることが期待されます。

また、学校でSDGsの学習を進めていく牽引役になることも期待できます。

ただし、とくに大阪で大切にしてきた「靴底をすり減らすほど」の家庭訪問を行い、保護者や子どもとつながっていくという旧来のやり方は、時間がかかるので「No thank you」というでしょう。

「教育の効果は時間がたってから現れる」というようなベテラン教員の現場感覚とは相容れないかもしれません。

しかし、人の役に立ちたいという願いは強いので、子どもたちが成長して、「先生、お世話になりました。ありがとうございました」という言葉をもらうと、これ以上ない満足感を得ることも期待できます。

このような時代にあって、校長は若い世代の教員に届く言葉で、学校の将来、子どもの未来を語ってほしいのです。

学校の存在意義が何であり、学校が教職員をどうしあわせにするかを、自分の言葉で語らなければ、教職員の意欲は高まりません。

将来の展望を語れなければ、若い教職員は不安を募らせ、離職していくことになります。