青いお空の底ふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまで沈んでる、
昼のお星は眼にみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ。
(金子みすゞ『星とタンポポ』より)
昼間に空を眺めても星は見えません。でも、たしかに星は存在しているのです。
目に見えないものは、昼間の星以外にもあります。
人の思いやりとか、人と人のつながり、人にしてもらった恩、誰かに頼られること、人に愛されていること・・・。
その中に、自分が必要なもの、自分を助けてくれるものが存在するのです。
見えないものに助けられていること、救われていることに気づけば、人の態度や行動の変容につながります。
学校の「道徳」の時間は、このような見えにくい人のこころを扱い、人のこころのあり方を変え、行動を変化させるという学習時間であると言えます。
実際の「道徳」の教科書からの読み物教材を紹介します。
私の父の場合は、若いときに祖国を離れてしまったから、それだけ自分の生まれた国に対する想いが深いのだと思うが、父にとっては、祖国の想いがそのまま生きていいくうえでの心の支えになっている。
父が、父の祖国、中国を愛していることだけは、私にははっきりわかる。
だからこそ私は、父を悲しませてまで日本に帰化しようとは思わないのである。
(王貞治)
<中学2年生教科書『自分を考える』(廣済堂あかつき発行)の道徳教材『国』(王貞治)より一部を引用>