箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

困っている女性にコロナ対策を

2021年09月10日 07時20分00秒 | 教育・子育てあれこれ

新型コロナウイルス感染症による影響は、多くの人びとに影響を与えています。

「わたしはなにも影響を受けていない」という人は少なく、ほとんど人が何らかの影響を受けているでしょう。

なかでも、女性に対して、より深刻な影響を及ぼしています。

現状では、仕事に就いている女性の5割以上が非正規労働者です。
それゆえに新型コロナウイルスで打撃を受けた職場が従業員を解雇する際、真っ先に非正規労働者が対象になります。

飲食業や観光・宿泊業で働いていた人が失職する例が多いようです。

とくに、シングルマザーにとっては厳しさが増します。

2020年夏から秋にかけて失業率が大きく上昇しました。解雇までいかなくても、勤務時間を短縮され、収入が減った母子家庭が多いのです。

収入が減ると、食べるものを減らさなければならなくなり、「食事の回数を減らした」とか「お肉や魚があまり買えません」という声が聞こえてきます。

以前に言われた「一億総中流」という言葉は消え失せ、いまや貧困の波が日本の家庭に押し寄せています。

TVでは、高級な料理やスイーツ、行列のできる店を特集し、食レポをする番組が人気を集めています。

でも、現実は、もっと厳しいところで生活困難になっている人がいるのです。

これが、いまの日本の現実です。

非正規雇用で収入が低く、不安定な就労を強いられる人には、手厚い公的支援が必要です。

さらに、コロナ渦は日本社会の男性と女性が対等でないという問題性をあぶり出しました。

女性が育児・家事を担っている割合が男性のそれらよりも高いのです。
学校が休校になると、小学生以下の子どもがいる家庭では、妻が仕事をやめるケースが多く出ました。

男性は外で働き、女性が家のこと全般を担うという性別役割意識は、困難な状況になると余計に現れるのです。

不利益を受けるのが女性に偏っているという現状の課題を解消するには、男女格差を是正していく必要があります。

男女格差の問題は、コロナ災渦の何十年も前から、中学校では「男女共生教育」として、人権教育の一環として学習を進めてきました。この男女性別役割意識を問題にしてきました。

それが。新型コロナウイルスにより、より明確に浮き彫りになったのです。

行政は直面している困難をかかえる女性の声を聞き、手厚い施策を打って行かなければなりません。

そのためには、意思決定に関わる女性の比率を増やすことが不可欠になります。当事者の声や願いを聞かずして、行政サービスはあり得ないのです。