箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

「子育て不安」はどこからくるのか

2021年09月21日 07時17分00秒 | 教育・子育てあれこれ


私の母は昭和9年に生まれました。

当時、まだ日本は経済的に貧しく、第二次世界大戦に入る前で平和とはいえない時代でした。

食べ物が豊かでない時代で、その日食べるのがやっとという不自由な時代でした。

でも、その頃の親が今のように、子育てに不安を感じていたでしょうか。

いつの時代でも、お母さんになったばかりの人が子育てが上手だったためしなどないのです。

それでも、人は赤ちゃんを産んだらお母さんになっていたのです。「私にだってできる」と、そんなふうに子育てをしていたようです。

こんな思いや安心感はどこからきたのでしょうか。

当時は、まだ近所どうしのの助け合いが、ふつうにあった頃でした。

おそらく、自分の生い立ちの中で、近所の子どもたちが大人になっていく様子を見て、「あんなやんちゃだった子でも、たくましい大人になるんだ」と納得しました。

となり近所で助け合って暮らしていくのを見て、「誰かが助けてくれる」と安心してきた経験があったからでないでしょうか。

実際の例を見て、「子育て、なんとかなる」と思えたのでしょう。


ところが、それから80年以上がたち、日本社会は大きく変わりました。他者に頼り、頼られ、ときには迷惑をかけながらも子どもが大きくなってくれればいいという気持ちがなくなってしまったのです。

いまの社会は、わたしも迷惑をかけないので、あなたも迷惑をかけないでくださいね。
おたがいに「自己責任」でいきましょう・・・。

こういう社会では、子ども、障害者、高齢者はどれほど生きにくいでしょうか。子育てをする人にも生きにくいし、『ちゃんと育てないと』というプレッシャーが強くなります。

子育て不安というのは、このよう時代背景から生まれるというのが一つの理由です。

そして、子育てに不安をもつ人は、子どもとの関係に不安をもっているといえます。

その親子関係は、昔とちがって「閉じられた狭い人間関係」になってきています。

もし、子育てに夫の協力がない場合は、母子の二人だけの空間で子育てを、母親一人が担うことになってしまいます。

だから、子育てに不安を感じたら、人間関係を増やすのがいちばんです。

子育てサークルに入ったり、幼稚園の活動に参加して、ママ友をつくり、お母さん同士が交流する機会を増やすのがいいのです。

いまのように豊かでなかった時代には、人間関係がたくさんあったのでした。

頼る人がいるということを支えに安心感を高め、頼ってもらえることで自信をもつことが、親の不安を取り除き、子どもをのびのびと成長させます。