Miaou:猫と一緒にフランス語

長い道のりを猫と共に行きつ戻りつ

「朽ちていった命-被曝治療83日間の記録-」読みました

2011-08-09 20:00:40 | 原発
1999年9月30日、茨城県東海村で起きた臨界事故により、放射線の中でもエネルギーの大きい中性子線を至近距離で大量被曝した作業員の治療の記録です。

被曝して83日後に他界されるまでの治療の様子、壊れていく体の状態が克明に語られています。

この事故が起こった翌日、仕事先である人に「これって、大変なことですよね」と言われ、私は事の重大さも実感せず「そうですよね」などと、うす~い反応しかしていませんでした。

放射線が人体に与えるダメージの絶望的な大きさ、そして安全をないがしろにした企業の在り方、そして100%コントロールできるわけではない原子力を使用することの危険。

今になってみれば1つ1つ今の我々の生活に迫ってくる問題です。

被曝した作業員の方の体がどのように機能不全を起こして生命の灯を消していくのか、その過程は壮絶です。

そしてこの本の最後「解説」部分で柳田邦男さんが書かれていたことも、この時期だからこそ余計に響きました。

「広島・長崎で被爆して、被曝即死ではなくその後2週間ほどで亡くなった重症被爆者の方たちの死に至るまでのプロセスが、この本の中で語られている作業員の状態を知ることにより、ものすごいリアリティを持ってきた」と。

ええ、私は広島の原爆資料館にも1人でふらりと行きました。他の用件で広島へ行って、資料館へ行くのは”ついで”でした。

そして今の今まで、いい年になるまで原爆投下や放射線の恐ろしさを自分のこととしてこれっぽっちも感じてきませんでした。

福島第一原発事故は戦争を知らない現在の私たちに原爆を落とした、と言っても過言ではないのかもしれません。

原発+天災=被曝

今の日本では、これは定理となりそうな。


ところで、ブログのカテゴリー、「原発」も加えるべきかな・・・と考える今日この頃。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿