CubとSRと

ただの日記

蓬餅(よもぎもち)

2019年03月10日 | バイク 車 ツーリング
 金色のドライブチェーンに替えたセローでは色々なところに行った。
 桜島の火山灰で一本眉毛になった後、大雨で甲突(こうつき)川が溢れ、竜ヶ水の土砂崩れで前後を塞がれた鉄道乗客の大救出劇が展開された時、セローで鹿児島に行っていた。
 「今の時期なら、五合目までは行ける筈」
 と雑誌等で知り、
 「富士山に行こう」
 と思い立ち、行ってみたら、その年は雪が多くて四合目までしか行けなかった。
 期待したほどもないことばかりで、ツーリング自体は楽しいんだから問題はないんだけど、一日目が終わる。
 そんな中で、大して期待していなかったけど、それを大きく裏切られたことが一つある。
 バイク雑誌で見た「もちや」ドライブインに行って食べた蓬餅(店では草餅、とあった)は、子供の頃、家の近辺で採ってきた蓬を使って搗いた蓬餅と同じ味だった。妙に感激してしまった。
 小学生の頃の蓬餅の味は以降、田舎を離れて三十半ばを過ぎたその時まで、全く出会えなかったからだ。
 色は蓬餅でも、味はただの大福餅でしかなかったからだ。
 あんまり懐かしい味だったので、ツーリング最終日の朝、土産に買って帰ろうと決めた。(「土産」ったって、自分で食べるんだけど)
 予定通り、帰る日の朝、行って開店を待っていた。
 そこにハーレーに乗った大柄な老人がやって来た。
 どこかで見たことのあるような、と思ったら、バイク雑誌に乗っていた人だった。ここの社長だ。
 「神戸に戻る前に餅を買いに来ました」
 と言ったら、寒いから中でお茶でも飲んで行け、と言われ、もうすぐ開店、という店内に入る。
 餅は買ったかと聞かれ、9時からということなんで、と言ったら急に怒り出して、お茶を持って来てくれた人を
 「ここの餅がうまいと言って来てるんだから、早く作ってやれ!」
 、と叱りつけた。ワンマン社長そのもの。
 叱りつけられたのは関係のない人なんだから気の毒に思ったけれど、もう遅い。
 買った餅を帰って食べた。
 やはり子供の頃食べた蓬餅の味で、うれしくなるくらい。
 十数年後、あの蓬餅を食べたくて、また寄ってみた。
 代替わりして、以前より規模が大きくなっていて客も多かったけれど、蓬餅の味はあの時の物ではなくなっていた。舌が贅沢になってしまった?

 もう一度行ってみたい気もするが、また失望するかもと思うと・・・。
 でも、もう一度、行ってみるかな?

コメント
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