2月25日
散髪後、米と麦を買って家に帰る。
帰ってからカブに乗り換え、スーパーマーケットに行く。
先日届いた、バブルシールドのついたヘルメット、初出動。
おそらくシナ製だと思う。値段も値段だから当然とは思うが、何となく大雑把で、細やかな仕事が為された感じがしない。勿論、SR用のアライのヘルメットは一桁近く値段が違うのだから、良くて当然ではあるのだけれど。
三十年余りバイクに乗ってきて、これまでただの一度もバブルシールド付きのヘルメットを使ったことがない。何故って、顔の前にあそこまで大きな空間を確保する必要はないと思ったからだ。
ヘルメットの曲線に合わせて必要最小限の空間を確保すればそれで良いのではないか。第一、不細工じゃあないか。
そう思って来た。バイクってのは機能性の塊であって、究極の機能から生まれる「機能美があればそれでよし」、なんだと。
脱線するけど、そのせいか、どうもカブのシルエットってのは「機能」は分かるけれど、そこから「美」が生まれている、ってホントに言えるのか?と思っていた。
それでも、ヴェスパからレッグシールドがなくなったら見られたものじゃないけど、カブはそうでもないな、却って意外に軽快さが出るんじゃないか、と思い、二十年前に買った時、リトルカブ用の小型のレッグシールドに交換してもらった。けど、どうも満足がいかず、いくらもしないうちにレッグシールド自体を取ってもらった。
リアキャリア上に付けていた、「洗濯屋みたいだ」と笑われた大きな箱も取ってもらって、代わりにスリムな、形だけのキャリアを付け、フロントには買い物用かごを付けてもらう。
そうやってみると全体のシルエットがスリムになった分、意外にカッコいいかもと思い始める。
それから二十年近く経って、カブを改造して乗っている写真を能く見かけるようになる。それぞれ、それなりに面白い形をしている。その仕上げがヘルメットだ。
スクーターにフルフェイスは妙に似合うけど、カブにフルフェイスは似合わない。何でだろう。
で、気が付いたのはスクーターの改造は電飾付けたりマフラー替えたりくらいが限度だけれど、カブの場合はいろいろできる、ということだった。
つまり、カブはSRと同じく何となく「手を入れたら良くなるんじゃないか」と思わせるバイクだということだった。
全体の雰囲気に余裕がある、遊べる(かもしれないと思わせてしまう)部分がある。だから完成されたものだけが持つ全く隙のない厳しさよりも、日常(普段使い)のために、少々の(いや相当な)無理でも平気で飲み込んでくれそうな気がする形をしている。ビルの三階から落としても壊れないとか食用油で走ったとか。見た目では最近のヒットでリアサイドバッグの代わりにランドセルを装備するのが流行ったとか。
その一部として、ヘルメットだって機能の絶対追及をするより、少々の遊びがある方が楽しいんじゃないかと思い始めた。昔のアメ車の垂直尾翼のような飾り羽みたいに、意味はほとんどないけど、あると楽しくなるもの。
昔、中沖満という人が自分の禿頭を
「これはハゲじゃない。ヘルメットずれだ」
と強弁して笑いを誘っていた。それに対して、バイク仲間が、
「じゃ、還暦祝いにみんなで植毛したヘルメットを贈るよ」
、という。
当人、ホントにやりかねない連中だから、と
「くれたら早速被って、白バイの前をウロウロするか。捕まったら、『ちゃんとかぶってますよ』と言ってヘルメットを取る」
と返す。
異様に頭のでかい長髪のノーヘル野郎を捕まえたら、光り輝く禿げ頭が・・・。
「顔の前にあそこまで大きな空間を確保する必要はない」。
けれど、これもカブの余裕、懐の深さと考えれば、
「バブルシールドは改造カブには似合いそうな気がする」。
そう思って買ったのだが。
能天気過ぎたのだろうか、風の巻き込みが思った以上にひどい。
これじゃ秋冬用には使えない。
買い物から帰って、早速ネットで調べてみたら、バブルシールドでも「全く風の巻き込みがない」ものもあるらしい。ひとくちに「バブルシールド」と言っても形状が違うのだろう。
やっぱり、或る程度は値の張る国産品にするかな~~。