CubとSRと

ただの日記

「世界の警察」の前身

2021年03月14日 | 心の持ち様
 はじめに

  米国人の根性は「アラモ」が象徴しているように思う。ことの発端は1820年代、米国はメキシコ領テキサスへの入植をメキシコ政府に頼み込んだ。肥沃な土地を放っておくのはもったいないという趣旨だった。
 メキシコ側はそこに住むアパッチ、チェロキー、コマンチなど先住民に手を焼いていた。渡りに船で入植を歓迎したが、一つ条件があった。メキシコは奴隷禁止国家。奴隷を入れないと約束してほしい。

 米国は「我が国の独立宣言に人は等しく創られ、生命、自由、幸福追求の権利は侵されないとある。約束は守る」と言った。
 しかし10年後に調べたら、入植者3万人のうち5000人が黒人奴隷だった。大統領サンタ・アナは米国人に反省を求め、嫌なら追い出すと言った。

 米国人は開き直る。そこまで干渉するなら住人にメキシコからの独立を問う「民主的な住民投票で決める」と言い出した。入植者の頭数は在住メキシコ人の10倍にも達していた〝民主的〟が笑い出すペテンだが、米国人入植者は真顔で住民投票とやらをやって1836年3月、一方的にテキサス共和国の独立を宣した。

 今、北海道の土地を支那人が買い漁っている。間もなく雲霞のように支那人がなだれ込み、「北海道を中国の32番目の省にする」(宮本雅史『爆買いされる日本の領土』)という。それが可能だと支那人が手本にしたのがこの200年前の騒動だ。
 メキシコ大統領サンタ・アナは怒り、軍を出して独立を嘯(うそぶ)く入植者250人が立て籠ったアラモの砦を攻め、悪い米国人は倒された。立て籠もった中に婦人と子供たち24人と2人の黒人奴隷がいた。サンタ・アナ将軍は彼らを保護した。米国人に比べよっぽどまともな国の応接だ。

 米国はアラモが全滅するのを待って「リメンバー・アラモ」を叫び、正規軍を入れてメキシコ軍を倒してテキサスを手に入れた。数年後には日本の2倍もあるこの豊穣の大地テキサスを米国領に編入した。実に見事な国盗り物語だ。
 表向きは民主的と言い、少々の自国民を犠牲にし、正義の報復と言って力ずくで奪い取る。その後のどの戦争も同じ手順を踏んでいる。

 「はじめに」の前半 転載終わり

 
  新潮文庫 
 「変見自在 トランプ、ウソつかない」
        高山正之著 より

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 西部劇では必ずと言っていいほど出てくる「アラモの砦」という名前。
 そして、先住民族の中の部族名、「アパッチ」「チェロキー」「コマンチ」。
 もしかして戦闘用ヘリの名前やjeep社の車種名でしか知らないという人も・・・。そんなことは、ないか。
 少なくともそれらの部族の勇猛さに「敬意を表してこういった名前を付ける」、という心根の人もアメリカ人の中には居る。
 だから「何で○○国のことをそんなに嫌うの?私の知ってる○○国の人達はみんないい人ばかりだよ?」と色々物議を醸しだす国のことを弁護する理屈も分からないではない。
 しかし、敬意を表していても、結果として先住民族は滅亡したのではなく、滅ぼされたのだ、という事実から目を逸らしてはいけないと思う。ウイグルで行われていることは間違いなく民族浄化だし、「用日」という言葉に日本への敬意は微塵もない。そんな人々は「いい人」とは言わない。 
コメント
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