・・・という題のコラム記事。
日英同盟に関して学校で習ったことはあっても、その時の日本、そして英国の、「国民感情」について考えることなんてなかったな。さらには世界の人々はどう考えるだろうか、と。
勿論、とてもじゃないけどそんなこと、考えている暇はない、少なくとも国語や社会科は「そんな時間があったら、授業をもっと進める」、「学校」とは「学ぶところ」であって考える所じゃない、と言い切るような雰囲気が中学校や高校にはあった。(理科や数学はその限りではない)
けど、本当はほんの数分でも、得た知識で考えるべきだったんだ、と今なら分かる。「人の思い」を推し量ることで「社会」を把握する力をつける。
人間ってのは社会に在ってこそ「人間」なんだから、学校にいる間だって社会の一員として(社会の一つの形である学校を)把握する力を付けつつ、自国から世界の国々までを把握するように努めるべきだろう。
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【 今、「日英同盟」を真剣に考えてみると 】
人は年を取ると翁の面のように柔和な面差しになる。
そうなる生理的な理由もある。年を重ねれば余計なところに肉がつく。頬にも顎にも肉がつく。その限りでは布袋様風になる。
瞼にも肉がついて重みで垂れてくる。目が細くなれば眼光の鋭さが隠れる。目を細めて喜ぶという表現通りになるはずだ。
しかし現実は違う。信号を待つ老人は苦虫を嚙み潰したような顔で佇む。
口角をちょっと上げればいい笑顔になり、みっともない頬の弛みも消える。周りの人の気持ちもほぐれるのに。
そうしないのは深刻な顔をする方が思慮深く見えると考えているからか。
同じことはお年寄りの文章にも言える。おん年92歳の元英大使ヒュー・コータッチは笑える話よりなぜか日本の悪口ばかり書く。
彼の日本との付き合いは先の戦争から始まる。日本語を学び、戦後の日本で仕事をし、それで外交官を目指した。本来は日本嫌いではないはずなのに、今はしかめっ面で「安倍は極右」と問答無用で斬りつける。
日本通だから朝日新聞が嘘を書いているのは知っている。その朝日が言う南京大虐殺は「今さら捏造を疑う必要もない」と知日派が聞いて呆れる発言も始めた。
慰安婦も「日本軍は数多くの強姦だけでなく、朝鮮人女を攫(さら)い性奴隷にしたのは疑いもない」ともう朝日新聞と寸分変わらなくなった。
日本人は朝日新聞の言っていることを誰も信用しなくなった。朝日と結ぶ支那や韓国の嘘にはうんざりを通り越して本気で怒っている。
だから統計でも日本人の85%が支那と付き合いたくないと言い、もっと多くの人が韓国などなくなってしまった方がいいと思っている。
コータッチは日本人をよく知るからそんな空気はすぐ察知する。
それでも「日本も英国も島国だが、隣接する大陸と切り離して生きていけない」(寄稿「岐路に立つ日本外交」から)となだめに回る。
「英国にもEUから出ようという極右の声はある。しかし英国はEUに依存しないでは生きていけない」「日本も大陸抜きでは生きていけないから、支那、韓国と正常な関係を持たねば生きていけない。歴史を書き改めようなどと金輪際考えてはならない」と。
彼は知日派だ。どこをどう押せば日本人が悔しがるか知っている。意地悪爺さん全開というところだ。
ところが状況が変わった。コータッチの読みが外れて英国が大陸を切った。日本と同じ。大陸が大嫌いだった。それでEUを出てしまった。
(続く)
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新潮文庫
「変見自在 トランプ、ウソつかない」
高山正之著 より
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