3月2日
28日土曜日は、「隣市まで行ってコーヒーを買い、道の駅にも寄って」、と思っていたのだが、一夜明けて1日になってみると、「それよりもいつもの店に行って、帰り掛けにスーパーマーケットに行った方が・・・」と気が変わった。
昼過ぎ、クルマで再度山(ふたたびさん)ドライブウェイを下って珈琲店を目指す。
ここは滅多に走らない。何しろ運転が下手だ。この道は異様なくらい曲がりくねっている。
軽自動車の中でも特に車体の小さいこの車ではあるが、乗ってるやつの運転が下手で、道もこんなに曲がりくねっていたら、とてもじゃないけど普通の速度で走ることは出来ない。
考えてみればここは本来六甲山頂へ向けてロープウェイかケーブルカーで市外、県外の観光客が行き来するところだったのを、戦後、「これからはクルマで個々に」、となった道だ。ゆっくり風景を楽しみながらくねくねと坂道を上り、その都度高くなる山腹の道から眼下に広がる神戸の街や大阪湾を遠望する。そして、有馬温泉に入って身も心も癒されて帰っていくというのが彼ら観光客の一番の目論見。地元の人間が「曲がりくねって走りにくい」とか「観光客はローリングの邪魔!」なんて文句をつける筋合いではない。
珈琲店で豆を買い、ロブスターを一杯注文する。
席について本を読み始めたら、「あまり良い匂いじゃない」みたいなことを言っている声が聞こえる。
どうも今注文したロブスターを挽いた匂いのことを言っているらしい。
(何だ、感じの悪い。他人の注文したものに。)
勿論、そんなことは言わない。大人だから。会話の主は七十代後半くらいの夫婦。
店主が、独特の匂いだけど、「これじゃないと」と言われるお客さんは結構あるんです、と返している。
しばらくして、その夫婦が帰るのと入れ違いに似た年恰好の老人が一人入ってきて「ロブスターを」、と注文した。
昔は「コーヒーと言えばブルーマウンテンが最高級」と言われ、値段も倍ほどしていたが、段々に「香りだけは」と但し書きが付くようになり、時には「単独(ストレート)では頼りない」とも言われるようになった。
そうだなあ、飽く迄も好みだよなあ。
女の人の評判を「三日経ったら飽きる」とか「三日経ったら慣れる」なんてひどいこと言ってたけど、本当は飽きるのは中身が薄っぺらだから。慣れるのは多面的な奥深さが見え始めるから。
だから女の人に限定する、というのは自身の薄っぺらさを告白していることに他ならない・・・のかもしれない。
再度山ドライブウェイもロブスターも美人も、それぞれ「良し悪し」ではなく様々な特徴があるんだ、と考えれば、これもまた味わい深くなる。