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大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること』

2015年11月15日 | BOOKS
『跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること』
著者:東田直樹
イーストプレス


 東田直樹さんのことを知ったのは、NHKのドキュメンタリー番組「君が僕の息子について教えてくれたこと」でした。
 「絶対家族みんなで見るべきだ」と、姉から言われたのが昨年の秋。
 再放送もあったのに、我が家のテレビの調子が悪かったこともあって、最近やっとDVDで見ることができました。

 「これは、小学生ぐらいの時にみんなが学校で見るべきなんじゃないか」「教員免許を取る人やこれから子どもを育てる人は全員見たほうがいい」と、私も思いました。

 人と会話することができない重度の自閉症。口から出てくるのは奇声や雄叫び、意味のないひとりごと。
 そんな彼の中にある、豊かな言葉・知性・品性・優しさ。
 「どうして跳びはねるんだろう」そんな世界中の自閉症の方々の家族の疑問に、彼の言葉が光のように届いていく様子は、本当に感動的で、涙が出てきました。

 そして、感動すると同時にショックを受けました。
「私は、特別支援に関する研修を受けていても、特別支援学級にボランティアに行っていても、何にも分かってなかったんだなぁ」と、恥ずかしくなりました。

 会話が難しい自閉症の方々の気持ちは、今まで私たち健常者が理解することの難しいものでした。
 今、「東田さんがパソコンで言葉を紡ぐことで、自閉症の皆さんの世界が見えてくる」という奇跡のような瞬間に、私たちは立ち会えているんじゃないでしょうか。

 この本は、22歳の東田さんが書いたエッセイ。
 家族への感謝や、自閉症があるからこその視点での世界の見方など、私たちに多くの発見・気付きを与えてくれる1冊です。
 言葉の美しさ、丁寧さも、本当に心地よいです。
(言葉を簡単に扱える私たちは、言葉を大切にしていないのかもしれませんね。)

 「人類への大きな貢献」がノーベル賞の授賞理由なら、東田さんはノーベル文学賞に値するぐらい、「人類へ新しい視点を与えてくれる文章を書く」という貢献をしていると、私は思います。

 これからも、書き続けていただきたい。伝え続けていただきたい。
 今後も楽しみです。
 

<関連サイト>
東田直樹 オフィシャルサイト「自閉症のぼくが跳びはねる理由」
東田直樹 オフィシャルブログ「自閉症の僕が跳びはねる理由」 会話のできない重度の自閉症者が自分の想いを伝えます
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