『怪物はささやく』
著:パトリック・ネス
原案:シヴォーン・ダウド
イラスト:ジム・ケイ
訳:池田真紀子
あすなろ書房
この本は、予防接種なのだと思います。
「本の中で体験する」というワクチンで、心に免疫をつけるための予防接種。
多くの本が、そういうワクチン的な要素を持っているけれど、この本は本当に、本の形をした「心のワクチン」です。
最愛の人を失うことへの恐怖、同情されることへのいらだち、必要とされないことへの悲しみ、そして自己嫌悪。
大人でも耐えられずに苦しむ、そんな現実を一生懸命抱えている男の子が主人公。
彼が守るのは、「よい子」であること、「病気は治る」と信じること。
そんな毎日に「怪物」が現れます。
理不尽で、救いがないような物語を語る怪物。
この怪物の語る物語が「心のワクチン」として少年の心に届くまでの間、心の副反応に苦しむ姿は、けして読んでいて楽しい物語ではありません。それでも、彼の心の動きと成長を丁寧に描いていて、最期まで見守らずにはいられません。
私は母親なので、この物語も母親の立場で読んでしまいます。
子どもの心の葛藤を心配し、子どもを残していくことに不安を感じ、「自分だったら最期に何ができるだろう」と考えてしまいました。
お互いが健康なうちに、この本を子どもにも読んでおいてほしいと思うけれど……。
ちょっと表紙や挿絵が恐いので、手に取ってくれるかどうか。
著:パトリック・ネス
原案:シヴォーン・ダウド
イラスト:ジム・ケイ
訳:池田真紀子
あすなろ書房
この本は、予防接種なのだと思います。
「本の中で体験する」というワクチンで、心に免疫をつけるための予防接種。
多くの本が、そういうワクチン的な要素を持っているけれど、この本は本当に、本の形をした「心のワクチン」です。
最愛の人を失うことへの恐怖、同情されることへのいらだち、必要とされないことへの悲しみ、そして自己嫌悪。
大人でも耐えられずに苦しむ、そんな現実を一生懸命抱えている男の子が主人公。
彼が守るのは、「よい子」であること、「病気は治る」と信じること。
そんな毎日に「怪物」が現れます。
理不尽で、救いがないような物語を語る怪物。
この怪物の語る物語が「心のワクチン」として少年の心に届くまでの間、心の副反応に苦しむ姿は、けして読んでいて楽しい物語ではありません。それでも、彼の心の動きと成長を丁寧に描いていて、最期まで見守らずにはいられません。
私は母親なので、この物語も母親の立場で読んでしまいます。
子どもの心の葛藤を心配し、子どもを残していくことに不安を感じ、「自分だったら最期に何ができるだろう」と考えてしまいました。
お互いが健康なうちに、この本を子どもにも読んでおいてほしいと思うけれど……。
ちょっと表紙や挿絵が恐いので、手に取ってくれるかどうか。