雨の間にすっかりたまってしまったデータの分類と整理をしなければならず、椅子から一歩も動けない状態が続きましたが、梅雨の貴重な晴れ間というと山仕事もしないといけません。久しぶりの山はたっぷりと水分を含んで林道は豪雨でえぐれてしまいました。とりあえず路肩が崩れてしまわないように、水抜きの溝を掘り直して応急修理しましたが、昨年のような集中豪雨があると、どこでどんな崩壊が起きるか見当もつきません。
除草を済ませ山道を上へ向かおうとすると、目の前5mに大きなハチがホバリング。単三電池ぐらいあるオオスズメバチです。去年は4回遭遇し、威嚇され追われましたが無事でした。しかし、無用な危険は回避したいのでしばらく観察。なにか獲物になる巣でもあるのか去らないので、杉林の中を大きく迂回する事にしました。
一度などは、天城山(てしろやま)への林道で、いきなり頭に小石をぶつけられたような衝撃を受けた事があります。オオスズメバチの体当たりによる威嚇でした。普通は、その前に目の前でホバリングして顎をカチカチと鳴らすのですが、いきなりの体当たりは初めてだったので驚きました。山梨の大マテイ山への山道でも同様のめにあったことがあります。どうも私の登山帽の真ん中がぐるりとネットになっていて、黒髪が見えるのが原因のようです。クマが天敵なので、黒いものには激しく反応するのです。夏山では黒髪や黒い服は絶対に禁物です。
時間がないので鉈鎌で除草しながら薮を抜け目的地へ。その途中で、去年落葉松の切り株にハナビラタケ(花弁茸)があったことを思い出し、立ち寄ってみました。すると、去年の切り株にはなかったのですが、その近くの地面に出ていました。それが写真のハナビラタケです。長い方が25センチほど。去年のものよりボリュームがなく、一部が老菌化していましたが、ほかはつやつやと珊瑚のように輝いていました。
ハナビラタケを検索してみると分かるのですが、ベータグルカンの含有量が非常に高く、がん予防効果や抗がん作用があるとかで、人工栽培もされています。しかし、天然物は貴重で幻のきのこといわれているのです。標高1000m以上の亜高山にはえるとあるのですが、私の知っている限りではこの北信濃では500mぐらいの里山でも見られます。とはいえ数は少なくやはり貴重なものであることには違いありません。日本には1科1種しかありません。
このハナビラタケは、他のきのこがあまり生えないヤニの強い赤松、樅、落葉松などの切り株などにはえます。そのため木の風味が強く感じられるきのこです。今回は定番の天ぷらにしましたが、まさにハナビラタケは木の子。森を食べているという深い味でした。風味は天然物には及ばないでしょうが、栽培物は容易に入手できます。
がん予防効果や抗がん作用では、コフキサルノコシカケが有名ですが、希少価値ということでは、こちらの方がずっと上でしょう。写真のものは、我が家の山に出たものですが、約30年ものだと思われます。
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