今回の妻女山里山デザイン・プロジェクトの作業は、陣場平で貝母の球根の移植作業がメインです。気温は23度ぐらいですが前日かなり雨が降ったので蒸し暑い。ただ五月蝿いクロメマトイや藪蚊がいないのが幸いでした。
東の斜面の下側に生えている貝母を掘り起こします。今回運搬用に一輪車をN氏が持ってきてくれたので作業がはかどりました。
以前私がエノコログサ(猫じゃらし)を掘り起こした穴に貝母を移植していきます。
貝母の群生地はかなり枯れて黄色くなってきました。ウスバシロチョウが十数頭舞っています。
樹上からサンコウチョウやシジュウカラの鳴き声が聞こえます。それよりけたたましくハルゼミとエゾハルゼミが鳴いています。
植えたら土を周りにかぶせて足で踏み固めます。移植した貝母は来年咲きます。
今年は全体で昨年の約半分ほど、30数株を移植しました。種は西へ飛ぶので、7、8年後には積石塚古墳の方まで貝母で埋め尽くされるかもしれません。移植作業は1時間半ぐらいで終了。
陣場平中央にある大きなクマノミズキの太い枯れ枝を切ります。
足場が悪くて危険なのでチェーンソーではなく手鋸で。
作業を終えて小休止。鞍骨山方面へ二人登っていきました。尾根筋は風があって気持ちいいでしょう。
休憩後は、出始めたオオブタクサを抜いてもらいました。里山保全はこういう地味な作業が大事です。
これが有害帰化植物のオオブタクサ。大きくなると3mぐらいになります。根から他の植物の成長を妨げる物質を出すので放っておくとオオブタクサだらけになってしまいます。葉の先が3つに別れているのが目印。
有害植物ではありませんが、ヒカゲイノコヅチも株になると貝母が生えなくなるので、適宜除去します。
メンバーが、これ何の実?と言うので見ると、クヌギの幼木に、ナラメリンゴフシ(楢芽林檎五倍子)。ナラリンゴタマバチによって作られた虫コブ(虫えい・ゴール)です。ナラメリンゴタマバチ(雌)が交尾後、コナラの根に楢根玉五倍子(ナラネタマフシ)を作ります。そこから冬に羽化した雌が単性生殖でコナラの冬芽に産卵し、それがこのような五倍子(フシ)を形成するのです。形成されたフシは卵の揺りかごであり幼虫になっては餌となります。コナラの冬芽をこんな風に変形させてしまうのですから恐るべしかなナラリンゴタマバチ。タマバチのタマとは、このリンゴ状のフシのことです。
虫コブは古くから利用されてきました。マタタビはマタタビミミタマバエの作る虫コブができて初めて価値あるマタタビ酒になります。また、ヌルデ(白膠木)の若芽や若葉などにヌルデシロアブラムシが寄生してできる虫こぶ(ヌルデミミフシ)は、お歯黒、染め物、薬、インク、占いなどに使われてきました。特に染料は、空五倍子色という伝統色で、古代より(正倉院にあり)珍重されてきました。
虫コブは、物理的刺激や植物の生長を促進する物質(植物ホルモンやアミノ酸など)により形成されますが、現在は人工的に虫コブを作る研究もされています。しかもフシはなにも虫だけによってつくられるのではなく、ダニ類、線虫類、細菌、菌類によっても作られます。ですから虫コブや虫えいよりは、英語のGALL(ゴール)といった方が適切かもしれません。もっとも、植物寄生菌類の多くは果樹や野菜に多大な被害をもたらすものばかりですが。現在、日本では1400種以上のゴールが見つかっています。実に奥が深い世界です。
林床に妖しく咲くマムシグサ(蝮草)。サトイモ科テンナンショウ属の多年草。薬草で毒草ですが野草好きの園芸家が好む花です。
インセクトホテルに訪れたお客様は、ベニボタルの仲間。コウチュウ目ホタル上科ベニボタル科に分類される甲虫ですが、黒い斑点がある種は初めて見ました。未同定。
クヌギの倒木におびただしい数の羽蟻。羽が大きいことや頭と胸部の色や形から、ヤマトシロアリでしょう。
皆にアリノスアブを見てもらいました。すぐ上や右上に小さな穴がありますが、アリノスアブが開けたものです。ミネラルや塩分補給のために泥を舐めているのでしょうか。不思議です。
昼は堂平大塚古墳のログハウスを借りて。まず雑巾でテーブルと椅子をきれいに拭きます。クマバチが二階の横の丸太に下から穴を開けて巣を作っていました。
今回は各自おにぎりとおかずを持参。人数も少ないので火は使いません。ニラのおやき、鶏の燻製、カブのポン酢しょうゆ、鰊と干しホタルイカと山蕗の煮物、実山椒の佃煮、淡竹の煮物、手作りチャーシュー、鶏のピリ辛炒め、イカのピリ辛炒めなどとノンアルコールビール。次回は状況を見て除草作業をします。
絶滅危惧種のキバネツノトンボの産卵シーンの撮影に成功したので次の記事でアップします。動画もあります。
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東の斜面の下側に生えている貝母を掘り起こします。今回運搬用に一輪車をN氏が持ってきてくれたので作業がはかどりました。
以前私がエノコログサ(猫じゃらし)を掘り起こした穴に貝母を移植していきます。
貝母の群生地はかなり枯れて黄色くなってきました。ウスバシロチョウが十数頭舞っています。
樹上からサンコウチョウやシジュウカラの鳴き声が聞こえます。それよりけたたましくハルゼミとエゾハルゼミが鳴いています。
植えたら土を周りにかぶせて足で踏み固めます。移植した貝母は来年咲きます。
今年は全体で昨年の約半分ほど、30数株を移植しました。種は西へ飛ぶので、7、8年後には積石塚古墳の方まで貝母で埋め尽くされるかもしれません。移植作業は1時間半ぐらいで終了。
陣場平中央にある大きなクマノミズキの太い枯れ枝を切ります。
足場が悪くて危険なのでチェーンソーではなく手鋸で。
作業を終えて小休止。鞍骨山方面へ二人登っていきました。尾根筋は風があって気持ちいいでしょう。
休憩後は、出始めたオオブタクサを抜いてもらいました。里山保全はこういう地味な作業が大事です。
これが有害帰化植物のオオブタクサ。大きくなると3mぐらいになります。根から他の植物の成長を妨げる物質を出すので放っておくとオオブタクサだらけになってしまいます。葉の先が3つに別れているのが目印。
有害植物ではありませんが、ヒカゲイノコヅチも株になると貝母が生えなくなるので、適宜除去します。
メンバーが、これ何の実?と言うので見ると、クヌギの幼木に、ナラメリンゴフシ(楢芽林檎五倍子)。ナラリンゴタマバチによって作られた虫コブ(虫えい・ゴール)です。ナラメリンゴタマバチ(雌)が交尾後、コナラの根に楢根玉五倍子(ナラネタマフシ)を作ります。そこから冬に羽化した雌が単性生殖でコナラの冬芽に産卵し、それがこのような五倍子(フシ)を形成するのです。形成されたフシは卵の揺りかごであり幼虫になっては餌となります。コナラの冬芽をこんな風に変形させてしまうのですから恐るべしかなナラリンゴタマバチ。タマバチのタマとは、このリンゴ状のフシのことです。
虫コブは古くから利用されてきました。マタタビはマタタビミミタマバエの作る虫コブができて初めて価値あるマタタビ酒になります。また、ヌルデ(白膠木)の若芽や若葉などにヌルデシロアブラムシが寄生してできる虫こぶ(ヌルデミミフシ)は、お歯黒、染め物、薬、インク、占いなどに使われてきました。特に染料は、空五倍子色という伝統色で、古代より(正倉院にあり)珍重されてきました。
虫コブは、物理的刺激や植物の生長を促進する物質(植物ホルモンやアミノ酸など)により形成されますが、現在は人工的に虫コブを作る研究もされています。しかもフシはなにも虫だけによってつくられるのではなく、ダニ類、線虫類、細菌、菌類によっても作られます。ですから虫コブや虫えいよりは、英語のGALL(ゴール)といった方が適切かもしれません。もっとも、植物寄生菌類の多くは果樹や野菜に多大な被害をもたらすものばかりですが。現在、日本では1400種以上のゴールが見つかっています。実に奥が深い世界です。
林床に妖しく咲くマムシグサ(蝮草)。サトイモ科テンナンショウ属の多年草。薬草で毒草ですが野草好きの園芸家が好む花です。
インセクトホテルに訪れたお客様は、ベニボタルの仲間。コウチュウ目ホタル上科ベニボタル科に分類される甲虫ですが、黒い斑点がある種は初めて見ました。未同定。
クヌギの倒木におびただしい数の羽蟻。羽が大きいことや頭と胸部の色や形から、ヤマトシロアリでしょう。
皆にアリノスアブを見てもらいました。すぐ上や右上に小さな穴がありますが、アリノスアブが開けたものです。ミネラルや塩分補給のために泥を舐めているのでしょうか。不思議です。
昼は堂平大塚古墳のログハウスを借りて。まず雑巾でテーブルと椅子をきれいに拭きます。クマバチが二階の横の丸太に下から穴を開けて巣を作っていました。
今回は各自おにぎりとおかずを持参。人数も少ないので火は使いません。ニラのおやき、鶏の燻製、カブのポン酢しょうゆ、鰊と干しホタルイカと山蕗の煮物、実山椒の佃煮、淡竹の煮物、手作りチャーシュー、鶏のピリ辛炒め、イカのピリ辛炒めなどとノンアルコールビール。次回は状況を見て除草作業をします。
絶滅危惧種のキバネツノトンボの産卵シーンの撮影に成功したので次の記事でアップします。動画もあります。
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