モリモリキッズ

信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

コガタスズメバチに襲われました!(妻女山里山通信)

2010-07-01 | アウトドア・ネイチャーフォト
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  所用のついでに寸暇を惜しんで妻女山のうちの山へ寄りました。ここのところご無沙汰したので椎茸が出ているだろうと。雨が多かったせいでしょうか、傘の直径が20センチぐらいのものをはじめ巨大化した椎茸がけっこう採れました。あと数日したら雨で傷んでしまっていたでしょう。

 さらについでにと傷めている腕をかばいながら長い鉈鎌で葛や帰化植物の駆除をしていると、灌木の中にとっくりを逆さにしたような物体を発見しました。コガタスズメバチ(小形雀蜂、Vespa analis)の巣です。小型といいますが、スズメバチ五種の中では中型の部類。威嚇性、攻撃性はスズメバチの中では弱い方ですが、それは極めて攻撃性の強いオオスズメバチと比べた場合の話。不用意に巣を刺激すると間違いなく刺されます。

この大きさだと女王蜂が一匹で営巣中のはず。しばらく様子を見ることにしました。まったく気配がないのでハンティングに出かけたのだろうと巣を撮影して帰る事にしました。巣の上に杉の枯れ葉があり邪魔だったのでどかしました。すると突然中から女王蜂が出現! 思わず身を屈めました。居るなら居ると言ってくれればいいのにと思いながら、約1.5メートルの距離の草陰から観察。

 女王蜂はとっくりの先端に逆さまになったまま微動だにしません。おそらく不審者はいないかと様子を見ているのでしょう。そこで、もう少しとにじにじと約1メートルまで接近、腕をいっぱいに伸ばして撮影しました。その瞬間です。女王蜂が頭をもたげ、こちらを睨みつけるやいなや、私に襲いかかりました。サッカー部で鍛えたのでダッシュには自信あります。約10メートル逃げて車の陰に隠れました。間一髪セーフ。

 去年は山仕事の最中に羽音に気づいて顔を上げると目の前60センチにオオスズメバチがホバリング。猛ダッシュで30メートル逃げました。オオスズメバチには4回襲われましたが、すべてセーフでした。しかし、草刈りでムモンホソアシナガバチには4回刺され、1回はひどく腫れてしまいました。山仕事にハチはつきもので、特に草むらに営巣するムモンホソアシナガバチは、被害の多いハチのトップでしょう。コガタスズメバチは、都市にも営巣するので剪定作業中に刺される被害があります。

 この巣ですが、妻女山展望台へ向かう道路のわりと近くにあります。観光客やハイカーが通るところなので、かわいそうですが除去しなければなりません。放っておくと30センチぐらいまで巣は大きくなり働き蜂も100匹以上になります。

 ほかに山仕事をする際にスズメバチの仲間で気をつけなければいけないのは、キボシアシナガバチ。アシナガバチといいますが、スズメバチ科スズメバチ属で、かなり攻撃性の強いハチです。蜂の子を採ることで有名なジバチがいます。正しくはクロスズメバチといいます。小型で土の中に営巣するのであまり被害はないと思いますが、私はキノコ狩りに夢中になっていて、威嚇でまとわりつくジバチをアブと間違えて五月蝿い!とはらったところ刺された経験があります。畑仕事や草刈りで気をつけなければいけないのは、フタモンアシナガバチなど。

 ハチに刺されるとアナフィラキシーショックをおこすことがあるので、ハチの毒性にかかわらず注意が必要です。
 予防法は、ハチは熊が天敵なので黒いものを見ると攻撃します。夏の山で黒髪、黒い服は禁物です。黒目も狙われるので必ず眼鏡かゴーグルを。女性の場合は香水や化粧品の匂いも攻撃を誘発する要因となります。山では無香料のものを。襲われたときに手で払うのがもっとも危険です。身を屈めて素早く立ち去り、物陰に隠れるしかありません。
 私は刺された場合のポイズンリムーバー(吸引器)をいつも携帯しています。ない場合は、口で吸引するしかありませんが、事後は必ず口をゆすいでください。

 小林一茶の句で私が好きなものを挙げてみます。
「瓜になれ なれなれとや 蜂さわぐ」
「へぼ蜂が 孔雀気どりや 花御堂」
「蜂の巣に かしておくぞよ 留主の庵」

万葉集から一首。
「たらちねの 母が飼ふ蚕(こ)の 繭(まよ)隠(ごも)り いぶせくもあるか 妹(いも)に逢はずして」(詠み人知らず)
意味:母が飼っている蚕がこもっている繭のように、気持ちが晴れず鬱陶しい。あの娘に会えないので。
 この「いぶせくもあるか(気持ちが晴れず鬱陶しい)」は万葉仮名で「馬声蜂音石花蜘蛛荒鹿」と綴るのですが、「ぶ」が「蜂音」で「ぶーん」という蜂の音を表しているわけです。日本人にとって古代から蜂は「ぶーん」なんですね。「馬声蜂音石花蜘蛛荒鹿」は、鬱陶しいものを羅列しているのですが、石花は岩に張り付いた貝(亀の手:味噌汁に入れると美味)のことだそうです。鬱陶しいですかね。これが自分の背中にたくさん張り付いていたら鬱陶しいですけどね。

★ネイチャーフォトは、【MORI MORI KIDS Nature Photograph Gallery】をご覧ください。キノコ、変形菌(粘菌)、コケ、地衣類、花、昆虫などのスーパーマクロ写真。滝、巨樹、森の写真、森の動物、特殊な技法で作るパノラマ写真など。
コメント
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