家に帰る途中、「大雨洪水警報が発令されました」という放送が
聞こえたと同時に、雨脚が強まり大粒の雨が降ってきました。
台風の風に立ち向かうように傘をさし歩いていると、大音響が
聞こえて来たかと思うと、黒い車が通り過ぎて行きました。
車の後ろには、大きく『皇軍』と、書いてありました。
その字を見た途端、悲しくなって気を緩めたら涙がでそうに
なりました。
右翼の車など、よく見掛けるのに、なぜこんなにも悲しくなるの
だろうと思ったら、これはもしかしたら、ずたずたにされた
9条への悲しみかもしれないと思えたのです。
昔、「戦争を知らない子供たち」という歌が流行ったことが
あります。
『戦争を知らずに 僕らは生まれた
戦争を知らずに僕らは育った
大人になって歩き始める
平和の歌を口ずさみながら…』
平和の中に生れた私たちは、いつしか平和の歌も
口ずさむことも忘れていたから、こんなことになって
しまったのでしょうか…
どうしようもない悲しさを抱えて家路につき、鬱鬱とした
気持ちで新聞を広げると、なかにし礼さんの詩がいきなり
飛び込んで来ました。
「こんな日本になって悲しくて仕方ない。」という言葉で
始まる、なかにしさんのコメントは「戦争をしたくないと思う
自分を後ろめたく感じる若者がいるそうです。違う。
戦争なんて無理、と思う自分に胸張っていい。
弱くあることは勇気あることです。」という言葉でくくられて
いました。
「平和の申し子たちへ!」 泣きながら抵抗を始めよう
なかにし 礼
二〇一四年七月一日火曜日
集団的自衛権が閣議決定された
この日 日本の誇るべき
たった一つの宝物
平和憲法は粉砕された
つまり君たち若者もまた
圧殺されたのである
こんな憲法違反にたいして
最高裁はなんの文句も言わない
かくして君たちの日本は
その長い歴史の中の
どんな時代よりも禍々(まがまが)しい
暗黒時代へともどっていく
そしてまたあの
醜悪と愚劣 残酷と恐怖の
戦争が始まるだろう
ああ、若き友たちよ!
巨大な歯車がひとたびぐらっと
回りはじめたら最後
君もその中に巻き込まれる
いやがおうでも巻き込まれる
しかし君に戦う理由などあるのか
国のため? 大義のため?
そんなもののために
君は銃で人を狙えるのか
君は銃剣で人を刺せるのか
君は人々の上に爆弾を落とせるのか
若き友たちよ!
君は戦場に行ってはならない
なぜなら君は戦争にむいてないからだ
世界史上類例のない
六十九年間も平和がつづいた
理想の国に生まれたんだもの
平和しか知らないんだ
平和の申し子なんだ
平和こそが君の故郷であり
生活であり存在理由なんだ
平和ぼけ? なんとでも言わしておけ
戦争なんか真っ平ごめんだ
人殺しどころか喧嘩(けんか)もしたくない
たとえ国家といえども
俺の人生にかまわないでくれ
俺は臆病なんだ
俺は弱虫なんだ
卑怯者(ひきょうもの)? そうかもしれない
しかし俺は平和が好きなんだ
それのどこが悪い?
弱くあることも
勇気のいることなんだぜ
そう言って胸をはれば
なにか清々(すがすが)しい風が吹くじゃないか
怖(おそ)れるものはなにもない
愛する平和の申し子たちよ
この世に生まれ出た時
君は命の歓喜の産声をあげた
君の命よりも大切なものはない
生き抜かなければならない
死んではならない
が 殺してもいけない
だから今こそ!
もっともか弱きものとして
産声をあげる赤児のように
泣きながら抵抗を始めよう
泣きながら抵抗をしつづけるのだ
泣くことを一生やめてはならない
平和のために!
聞こえたと同時に、雨脚が強まり大粒の雨が降ってきました。
台風の風に立ち向かうように傘をさし歩いていると、大音響が
聞こえて来たかと思うと、黒い車が通り過ぎて行きました。
車の後ろには、大きく『皇軍』と、書いてありました。
その字を見た途端、悲しくなって気を緩めたら涙がでそうに
なりました。
右翼の車など、よく見掛けるのに、なぜこんなにも悲しくなるの
だろうと思ったら、これはもしかしたら、ずたずたにされた
9条への悲しみかもしれないと思えたのです。
昔、「戦争を知らない子供たち」という歌が流行ったことが
あります。
『戦争を知らずに 僕らは生まれた
戦争を知らずに僕らは育った
大人になって歩き始める
平和の歌を口ずさみながら…』
平和の中に生れた私たちは、いつしか平和の歌も
口ずさむことも忘れていたから、こんなことになって
しまったのでしょうか…
どうしようもない悲しさを抱えて家路につき、鬱鬱とした
気持ちで新聞を広げると、なかにし礼さんの詩がいきなり
飛び込んで来ました。
「こんな日本になって悲しくて仕方ない。」という言葉で
始まる、なかにしさんのコメントは「戦争をしたくないと思う
自分を後ろめたく感じる若者がいるそうです。違う。
戦争なんて無理、と思う自分に胸張っていい。
弱くあることは勇気あることです。」という言葉でくくられて
いました。
「平和の申し子たちへ!」 泣きながら抵抗を始めよう
なかにし 礼
二〇一四年七月一日火曜日
集団的自衛権が閣議決定された
この日 日本の誇るべき
たった一つの宝物
平和憲法は粉砕された
つまり君たち若者もまた
圧殺されたのである
こんな憲法違反にたいして
最高裁はなんの文句も言わない
かくして君たちの日本は
その長い歴史の中の
どんな時代よりも禍々(まがまが)しい
暗黒時代へともどっていく
そしてまたあの
醜悪と愚劣 残酷と恐怖の
戦争が始まるだろう
ああ、若き友たちよ!
巨大な歯車がひとたびぐらっと
回りはじめたら最後
君もその中に巻き込まれる
いやがおうでも巻き込まれる
しかし君に戦う理由などあるのか
国のため? 大義のため?
そんなもののために
君は銃で人を狙えるのか
君は銃剣で人を刺せるのか
君は人々の上に爆弾を落とせるのか
若き友たちよ!
君は戦場に行ってはならない
なぜなら君は戦争にむいてないからだ
世界史上類例のない
六十九年間も平和がつづいた
理想の国に生まれたんだもの
平和しか知らないんだ
平和の申し子なんだ
平和こそが君の故郷であり
生活であり存在理由なんだ
平和ぼけ? なんとでも言わしておけ
戦争なんか真っ平ごめんだ
人殺しどころか喧嘩(けんか)もしたくない
たとえ国家といえども
俺の人生にかまわないでくれ
俺は臆病なんだ
俺は弱虫なんだ
卑怯者(ひきょうもの)? そうかもしれない
しかし俺は平和が好きなんだ
それのどこが悪い?
弱くあることも
勇気のいることなんだぜ
そう言って胸をはれば
なにか清々(すがすが)しい風が吹くじゃないか
怖(おそ)れるものはなにもない
愛する平和の申し子たちよ
この世に生まれ出た時
君は命の歓喜の産声をあげた
君の命よりも大切なものはない
生き抜かなければならない
死んではならない
が 殺してもいけない
だから今こそ!
もっともか弱きものとして
産声をあげる赤児のように
泣きながら抵抗を始めよう
泣きながら抵抗をしつづけるのだ
泣くことを一生やめてはならない
平和のために!