録画していた河瀨直美監督の「あん」を観ました。
主人公がハンセン病の映画だと聞いていましたが
こんなにも静かな映画だと思っていませんでした。
小豆の声を聴き、「あん」を作る姿に、どこか
初女先生が重なりました。
美味しいものを作るには、やはり食材の声に
耳を傾けなければ出来ないのだな~と、
この映画でも思いました。
「人は何かの声を聴くために生まれてきた。
だとしたら、たとえ何にもなれなくても、
生まれてきた意味がある」正確には覚えてませんが
この台詞が心に残っています。
物心ついた時から、まわりの大人たちに
「大きくなったら何になりたい」と聞かれて
来ました。
とこやさん、学校の先生、本を書く人…
そのとき、その時でなりたいものは変わって
いきました。
いつも、自分は何かになるものと思っていました。
歳を重ねた今、「何になった」と聞かれたら
「お母さん」しか答えが出てきません。
私のなりたいものリストには、あまりに平凡過ぎて
一度もあがらなかった「お母さん」
でも、がっかりはしていません。
初女先生が「母になるのは難しいの」と
おっしゃっていたけれど、本当に難しくて
それでも一生懸命、お母さんになりたいと
思っていたのは確かだから…
何があっても心静かに受け止める、そんな
お母さんになれたらと願いながら…
初女先生は、夫にとっても母にならなければ
いけない時があると、お母さんのハードルを
ぐんと上げるお言葉を残していかれました。
「あなたは何になりましたか」
「お母さんになりました」と、言いきれたら
もしかしたら凄いかも…