今日は、妖精が、あるひとりの女のビーストの話をしてくれました。
そのビーストは、不細工で、気が弱くて、小さい自分がとてもきらいだったのですって。それでね、あるとても背が高くて賢い女性の人間が、とてもうらやましくなって、その人の皮を盗んじゃったんだって。
ビーストは、背の高いかわいい女の子になれて、最初はとても、幸せだったそうです。けれども、だんだん、しんどくなってきたんだって。
というのも、見た目がとってもしっかりした強そうな女の子だったので、周りから頼られたり、難しい仕事を頼まれたりするんだって。気の弱いビーストは、つらくて、できないなんて言えなくて、やってはみるんだけど、うまくできなくて、失敗ばかりで、いつも、とっても辛かったのですって。それでね、ビーストはいつも、背が高いくせに、おどおどしてる変な子だなって言われてきたそうです。
そのビーストは、弱気だから、そんなに悪いことはしなかったんだけど、やっぱり、皮を盗んでいるから、みんなをだましてることになるので、とっても辛いそうです。それでね、とんでもなくつらくなって、皮を、返しちゃったそうなの。そしたらね、ビーストはとたんに小さくなって、不細工になってしまいました。
でもね、鏡の中の顔をみてると、あっという間に、わかったそうよ。あ、自分はこんな子だって。気が弱くて、小さくて、でも、小さいとこにやさしい子なんだって。そんな顔だったのです。神様が、おまえはこんな子だよ、って言ってくれてるような顔だったのです。
神様のことばが、聞こえるようだったそうです。
誰も知らなくても、わたしは知ってるよ。おまえはまだ小さくて弱いけれど、よわいものやちいさなものに、とてもやさしくする子なんだよ。小さなところで、だれかに守ってもらいなさい。そこで、いいことをたくさんするんだよ。いっぱい勉強して、いい子になりなさい。
ビーストは、不細工になっちゃったけど、とっても安心したんだって。もう、今までのように、無理して強いふりしなくていいからだって。友達といっしょに、がんばろうって。それでいいって。
ほんとの顔には、神様の愛がこもってるって、妖精が教えてくれます。君はこんな子なんだよって。神様の愛を見てごらんなさい。どんなにか、君たちが、うまくいくように、考えてくれてるから。つらいことも、つらくないように、苦しいことも、苦しくないように、なんとかしてくれてるんだよ。不細工に生まれても、辛くないように、君には君にぴったりの美しい何かをもらっているんだよ。
考えてみなさい。自分に何があるか。小さな手を動かして、今、自分が一番やりたいことを、やってごらん。それがいちばん幸せだから。
その女のビーストは、子供が大好きだそうです。だから、子供にやさしくしてやりたいって、言ってるそうです。そんな仕事をいっぱいしたいそうです。
がんばるって言ってるそうよ。