
上の小説には、複数の女性と疑似恋愛を同時進行させる男が描かれています。読者を混乱させずに同時進行が文章だけで表現されており、作者の乃南アサさんはホンモノのプロだと感じさせます。(タレントが余技のように小説を書く昨今、余計にそう思います。)
この小説に直接書かれているわけではありませんが、結婚詐欺師は女性を100%だまそうして近づくわけではありません。ある程度は本気で恋愛関係になるのです。そして、空想なのか現実なのか、結婚詐欺師は自分でも分からなくなります。最終的には女性をだますことになってしまうのですが・・。
結婚詐欺師は第三者には「うそまみれの男」と映るのですけれども、本人はそうは思っていません。このたび、W教授は別の細胞を渡されたと知って、怒りがこみ上げる以前に、いいしれぬ恐怖感に襲われたのではないでしょうか?細胞を渡してくれた人があまりに無邪気でフレンドリーだったからです。
今日から「空想虚言癖」という用語がマスコミに乱舞すると考えられるので、「空想虚言癖」とは以上のようなものだと示しておきました。「空想虚言癖」と類縁の「ミュンヒュハウゼン症候群」という術語も出てくるかもしれません。