(築地のマグロ市場。ウィキペデイアより引用)
生(なま)マグロという言葉をご存知か?一度も冷凍していないマグロのことである。
むかしの寿司屋(屋台)のマグロはみな生だった。つまり、近海で捕れ短時間で消費された。江戸前とは東京湾のこと(または捕れた魚のこと)で、さいきんまで駿河湾や外房あたりでもマグロが釣れたのだ。
志賀直哉の小説「小僧の神様」の小僧がごちそうになったのも、生マグロだったはずだ。冷蔵庫なんてなかったから。
那智勝浦は近海マグロの水揚げで有名だ。(さいきん水揚げ量が激減しているらしいが)。つい20年前まで、街のどんな寿司屋にも生マグロが置いてあったのだが、このごろは無いことが多い。
生マグロがそんなに有難いわけでもない。冷凍技術が発達して冷凍モノでも生マグロと味は変わらなくなった。ただ、資源が枯渇してきて、ホンマグロ(クロマグロ)に絶滅の危惧があるのは何とかしなくてはならない。
さいきんでは養殖技術が発達して、全身トロのマグロも夢ではないらしい。しかし、寿司好きの私としては、海を弾丸のように泳いできたマグロの赤身が食いたい。マグロで一番おいしいのはトロの部分ではなく、赤身だと私は思っている。
生マグロの赤身にちょっとひと手間かけてヅケにしたのが私には最もおいしい。ああ、寿司が食いたくなってきた。今夜は寿司屋に行こう。
※私の俳句(夏)
菊苗をくるると墨書壁にあり