夜が浅くなった。
平日の五日、五時半に会社の自動ドアを抜けて高架道路と背の高い駅ビルのはざまの空を見上げる。ガラス戸の内から既に暗く寒い冬の頂点を過ぎて四か月、五時半の夕べはアスファルトが水色に染まる程度に薄まった。
四月を過ぎ五月を過ぎると空はまだ十分に昼の光をたたえていていちめんが少しかげった昼間のように明るくなる。八月を越して十月に差し掛かると五時半は夜を取り戻し、車道にはヘッドライト歩道には街灯が眩しく灯る。空は暗く「おでん」の赤ちょうちんが歩道と車道を溶け込ませる宵闇にぽかりと輪郭を伴ってその数メートルだけ昭和のむかしの気配がする。
それも二月の今は空の明るみに押されて引っ込み、夜寒の具合を見計らっておでん屋は五時半の準備の速度の手綱を緩めていた。
平日の五日、五時半に会社の自動ドアを抜けて高架道路と背の高い駅ビルのはざまの空を見上げる。ガラス戸の内から既に暗く寒い冬の頂点を過ぎて四か月、五時半の夕べはアスファルトが水色に染まる程度に薄まった。
四月を過ぎ五月を過ぎると空はまだ十分に昼の光をたたえていていちめんが少しかげった昼間のように明るくなる。八月を越して十月に差し掛かると五時半は夜を取り戻し、車道にはヘッドライト歩道には街灯が眩しく灯る。空は暗く「おでん」の赤ちょうちんが歩道と車道を溶け込ませる宵闇にぽかりと輪郭を伴ってその数メートルだけ昭和のむかしの気配がする。
それも二月の今は空の明るみに押されて引っ込み、夜寒の具合を見計らっておでん屋は五時半の準備の速度の手綱を緩めていた。