風が生ぬるくなり始めた頃が一番風を涼しく感じられる時で、5月の今どきは時々窓を開けて眠りたい気持ちに駆られる。防犯のために閉め切ってはいるが程よい冷房を求めて開けたくなるものの、それはそれで眠れなくなるので結局は窓を閉めてしまう。今朝は半袖では少し涼しいが動いて人の中に紛れていると暑苦しい。マスクは取れた。自分のように癖でマスクを続けているような人間でも、外を歩いている時はマスクを外すことに抵抗がなくなっている。部屋の中ではマスクはつけない。外の風に滲む部屋の空気に触れながら晴天の下を歩くことを思う。思うだけでリモートワークの間は外に出られない。外を思いながら眠るために窓を開けたい。外の物音は移動している。移動する物音が住処のそばに近づくたびに矛盾しているがぞっとして、怯えたまま窓を閉める。その繰り返しで夜が続く。
朝が来てカーテンを開けて、他人が人間に興味のないことを知っていても、興味のある他人もいないことはないことに怯えながらまたカーテンを閉める。窓は開けられない。窓のそばに座り仕事を始めてやっと、窓を開けることができる。夜に開ける窓から入る夜気を自由に感じられたかつてを思いながら朝を始めて眠るその夜のことを考え続けている。
朝が来てカーテンを開けて、他人が人間に興味のないことを知っていても、興味のある他人もいないことはないことに怯えながらまたカーテンを閉める。窓は開けられない。窓のそばに座り仕事を始めてやっと、窓を開けることができる。夜に開ける窓から入る夜気を自由に感じられたかつてを思いながら朝を始めて眠るその夜のことを考え続けている。