初戦を制した2018年ワールドカップに一抹の「出オチ」の気配が無きにしもあらずの束の間に、次の試合が近づいている。シュートを放ったコロンビアの選手の、右足の爪先が優美に曲がっていた場面を、彼の履いていたサッカーシューズの靴底の鮮やかなオレンジ色とともに覚えている。それから実況がしきりに守りを固めろといったことを言っていた気がする。メンバーを早々にレッドカードで失いながらも、コロンビアのチームは虎視眈々ときっかけをつかみ、日本チームのチャンスを防ぎつつ一撃を刺すように入れたのは見事だと思った。後半の駆け引きは見逃してしまったが、結果、日本チームは番狂わせに成功したとニュースで知った。ただ、同じ番狂わせとはいえ、その前の方がにわか見物には面白く観られた。アルゼンチンチームとアイスランドチームの引き分け試合だ。
お茶を蒸らすついでにチャンネルを回していたら、国名の下のスコアが「1-1」と並んでいたのに興味を覚えてそのままテレビの前に座り込む。黒いユニフォームのアルゼンチンの選手が、その場にとどまり足さばきで8文字型にボールを回し、懸命にボールを取ろうと前に立つアイスランドの選手をまんまと巻いてゴール際の味方へパスを放ち、目くらましのようにボールを繋げながらゴールを狙うも、文字通りの死守に阻まれてあと一歩が刺さらない。しかしアイスランドチームは攻撃の機会を巧みに奪われ、ハーフラインを超えるので手一杯という風情。ボールを奪っても追跡され、シュートまでの距離が届かないという具合だった。
ボールを取られてもアルゼンチンのチームはやすやすと取り返し、決定打を打てる位置の選手へボールを渡す。そこに追いすがり、食いすがって、近づかれたゴールをアイスランドの選手たちは一団となってふさごうとしていた。それでも矢のように人の合間を縫ってゴールには何発もボールが放たれた。しかし入らない。けれど入れられない。ワールドカップ初出場のチームは死に物狂いで差を縮められることを防いだ。華のない無骨な愚直さがかえって、そこで起きている出来事の印象を深く刻むように思いながらTVを消した。
消す寸前、日本人の実況者の「ドロー!ドローです!!」という叫びが聞こえた。
お茶を蒸らすついでにチャンネルを回していたら、国名の下のスコアが「1-1」と並んでいたのに興味を覚えてそのままテレビの前に座り込む。黒いユニフォームのアルゼンチンの選手が、その場にとどまり足さばきで8文字型にボールを回し、懸命にボールを取ろうと前に立つアイスランドの選手をまんまと巻いてゴール際の味方へパスを放ち、目くらましのようにボールを繋げながらゴールを狙うも、文字通りの死守に阻まれてあと一歩が刺さらない。しかしアイスランドチームは攻撃の機会を巧みに奪われ、ハーフラインを超えるので手一杯という風情。ボールを奪っても追跡され、シュートまでの距離が届かないという具合だった。
ボールを取られてもアルゼンチンのチームはやすやすと取り返し、決定打を打てる位置の選手へボールを渡す。そこに追いすがり、食いすがって、近づかれたゴールをアイスランドの選手たちは一団となってふさごうとしていた。それでも矢のように人の合間を縫ってゴールには何発もボールが放たれた。しかし入らない。けれど入れられない。ワールドカップ初出場のチームは死に物狂いで差を縮められることを防いだ。華のない無骨な愚直さがかえって、そこで起きている出来事の印象を深く刻むように思いながらTVを消した。
消す寸前、日本人の実況者の「ドロー!ドローです!!」という叫びが聞こえた。