のんびりと一杯を過ごして真上に上限の月を見た。駅から自宅の近場のバス停に向かうバスに間に合ったので最前列の高い席に座って頭痛の痛みを響かせるに任せている。たった三時間前に飲んだ酒が、三時間の間に身体をぐるりと巡って指先全てが夜目にも赤く染まっている。肌が白ければ粋な光景なのだろうな、と、夏場で日焼けした肌を撫でながら思った。
すっかり酒を過ごしてしまい、地下鉄のホームで小さなお茶のペットボトルを買って電車が来る二分間の間に飲み干した。言わなければ(当たり前なのだが)水を出さない居酒屋で喉が渇いていたおかげで、普段は少しずつ飲んで十分ほどかかるボトルがあっという間に空になった。冷たいお茶がうまかった。
はたから見ればあからさまに酔っている。足のコントロールは利いてはいるものの、うっかりと人にぶつかりそうになった時、踏ん張りがきかずよろめいた足を見て帰ろうとようやく帰ろうと思い立った。地下鉄を降りた先の寄り道だった。
店の階段を登ると日は暮れていて、それでも架線をくぐって慣れた道を歩くと赤ちょうちんのように内側から紙を透かした灯りが道の角でほのぼのと点っている。痛む足を休めようと「お好きな席へどうぞ」と、座敷席に座って御前汁粉を頼んだ。昔よりも200円程度値上がりして量は気持ち減ったような、しかし味は変わらない上品の薄い甘さを、しその実をかじりながら頂いて、まだ浮ついた足取りを使って家に向かう電車に乗り眠って過ごした。
虫の声を聞きながら通り過ぎた雨あがりの公園は、欅の蒸れ籠った匂いと土の匂いがまぜこぜに合わさり、歩みに合わせて遠ざかって行った。
すっかり酒を過ごしてしまい、地下鉄のホームで小さなお茶のペットボトルを買って電車が来る二分間の間に飲み干した。言わなければ(当たり前なのだが)水を出さない居酒屋で喉が渇いていたおかげで、普段は少しずつ飲んで十分ほどかかるボトルがあっという間に空になった。冷たいお茶がうまかった。
はたから見ればあからさまに酔っている。足のコントロールは利いてはいるものの、うっかりと人にぶつかりそうになった時、踏ん張りがきかずよろめいた足を見て帰ろうとようやく帰ろうと思い立った。地下鉄を降りた先の寄り道だった。
店の階段を登ると日は暮れていて、それでも架線をくぐって慣れた道を歩くと赤ちょうちんのように内側から紙を透かした灯りが道の角でほのぼのと点っている。痛む足を休めようと「お好きな席へどうぞ」と、座敷席に座って御前汁粉を頼んだ。昔よりも200円程度値上がりして量は気持ち減ったような、しかし味は変わらない上品の薄い甘さを、しその実をかじりながら頂いて、まだ浮ついた足取りを使って家に向かう電車に乗り眠って過ごした。
虫の声を聞きながら通り過ぎた雨あがりの公園は、欅の蒸れ籠った匂いと土の匂いがまぜこぜに合わさり、歩みに合わせて遠ざかって行った。